暴風雨(下)
寺田寅彥
翻譯:王志鎬
開始時這不可思議的小店辫封、不可思議的熊先生使我心存不快凛辣,不過習慣了就沒有這種感覺了绝编。在松原以外有這樣的小店孕豹、有這樣的人住著是極其自然的事情框弛,關(guān)于熊先生的歷史和這家旅店的來歷辛辨,我從不作任何想象,也沒有向人打聽的念頭瑟枫。如果什么事也沒有就告別了的話斗搞,也許如今已將熊先生的事情都忘記了,可是由于發(fā)生了一件事慷妙,熊先生的面影至今還留在我的心里僻焚。
始めはこの不思議な店、不思議な熊さんを気味悪く思うたが膝擂、慣れてしまうとそんな感じもない虑啤。松原の外(はず)れにこんな店があってこんな人が居るのは極めて自然な事となってしまって、熊さんの歴史やこの店のいわれなどについて架馋、少しも想像をした事もなく狞山、人に尋ねてみる気も出なかった。もしこれで何事もなく別れてしまったら叉寂、おそらく今頃は熊さんの事などはとうに忘れてしまったかもしれぬが萍启、ただ一つの出來事のあったため熊さんの面影は今も目について殘っている。
一天夜里起了風暴屏鳍,海邊波濤洶涌勘纯,翻江倒海。
一夜浜を揺がす嵐が荒れた孕蝉。
風暴前的傍晚屡律,客人全無,我靠在昏暗的旅館二樓的欄桿降淮,觀看海浪超埋。從白天開始反常的云朵移動得越發(fā)快了搏讶,越來越朝北飛去。晚霞的顏色也與往常不同霍殴,帶著暗黃色媒惕,正讓人害怕時卻消失了。天色將暗来庭,深鼠色的天空妒蔚,斷斷續(xù)續(xù)的錦云如惡夢似的從無盡的浪濤那里襲來。大海深處一片漆黑月弛,見不到一絲漁火肴盏。帶著濕氣的大個的星星在忽隱忽現(xiàn)的云朵的縫隙中閃爍。如果與往常一樣海上風平浪靜帽衙,那么本來應(yīng)該是酷熱難熬的時刻菜皂,可是今夜格外濕潤的冷風一陣又一陣地從堤下的桑田打著旋兒吹來,翻動昏暗的壁龕上的掛軸厉萝。我覺得草也好恍飘,樹也好,房檐下的風鈴也好谴垫,仿佛都像眼睛看不見的鬼魂一樣而擺動著章母。
嵐の前の宵、客のない暗い二階の欄干に憑(もた)れて沖を見ていた翩剪。晝間から怪しかった雲(yún)足はいよいよ早くなって乳怎、北へ北へと飛ぶ。夕映えの色も常に異なった暗黃色を帯びて物凄いと思う間に肢专、それも消えて舞肆、暮れかかる濃鼠(こいねず)の空を焦辅、ちぎれちぎれの綿雲(yún)は悪夢のように果てもなく沖から襲うて來る博杖。沖の奧は真暗で、漁火(いさりび)一つ見えぬ筷登。濕りを帯びた大きな星が剃根、見え隠れ雲(yún)の隙を瞬(またた)く。いつもならば夕凪(ゆうなぎ)の蒸暑く重苦しい時刻であるが前方、今夜は妙に濕っぽい冷たい風が狈醉、一しきり二しきり堤下の桑畑から渦巻(うずま)いては、暗い床の間の掛物をあおる惠险。草も木も軒の風鈴(ふうりん)も目に見えぬ魂が入って動くように思われる苗傅。
看得見海邊燃燒著的火堆,這是每天夜里的活計班巩,漁民將白天捕的松魚剖開來放在火上炙烤渣慕。火光撕破了海邊的黑暗,飛舞的烈焰美麗無比逊桦,在它周圍活動著的赤裸的人影歷歷在目眨猎,格外鮮明∏烤火焰隨風飄動睡陪,每次這樣搖曳,我總覺得很可怕匿情。港口的陰影里停泊著的帆船舷燈的藍光被夸大地扭曲了兰迫,海岬上報警臺的紅燈暗淡的光亮映在波濤上。什么地方有人隔著風聲在黑暗中發(fā)出“哦——伊”的喊聲炬称。
浜辺に焚火をしているのが見える逮矛。これは毎夜の事でその日漁した松魚(かつお)を割(さ)いて炙(あぶ)るのであるが、浜の闇を破って舞上がる焔の色は美しく转砖、そのまわりに動く赤裸の人影を鮮やかに浮上がらせている须鼎。焔が靡く度にそれがゆらゆらと揺れて何となく凄い。孕(はらみ)の鼻の陰に泊っている帆前船の舷燈の青い光が府蔗、大きくうねっている晋控。岬の上には警報臺の赤燈が鈍く燈って波に映る。何処かでホーイと人を呼ぶ聲が風のしきりに闇に響く姓赤。
我想暴風雨就要來了赡译,隨即下樓回到房間。在桌子前躺下不铆,一邊聽著芭蕉葉拍打在防雨套窗上的聲音蝌焚,一邊想著即將到來的海濱暴風雨的壯大景觀。海水低聲模糊地吼嘯著從地底下奔襲而來誓斥。
嵐だと考えながら二階を下りて室(へや)に帰った只洒。機の前に寢転んで、戸袋をはたく芭蕉の葉ずれを聞きながら劳坑、將(まさ)に來らんとする浦の嵐の壯大を想うた毕谴。海は地の底から重く遠くうなって來る。
這樣寂寞的夜晚只能去帳房那里閑聊距芬。老太婆在長火盆前打盹兒涝开,三毛躺在她的膝蓋上。辰先生一邊小聲地哼著義太夫小調(diào)框仔,一邊處理著魚雜碎舀武。女傭人的房間那邊透出歡樂的笑聲。與戶外的景色正好相反离斩,這里像平時一樣平和银舱。
こう云う淋しい夜にはと帳場へ話しに行った衷旅。婆さんは長火鉢を前に三毛を膝へ乗せて居眠りをしている。辰さんは小聲で義太夫を唸りながら纵朋、あらの始末をしている柿顶。女中部屋の方では陽気な笑聲がもれる。戸外の景色に引きかえて此処(ここ)はいつものように平和である操软。
以暴風雨為由頭嘁锯,老太婆說起了久遠記憶中可怕驚人的暴風雨,辰先生則在地板上隨聲附和聂薪。不知何時的一場狂風暴雨家乘,黑色波浪從超過一公頃的海灘沖刷過來,從根底上洗劫了松林叢生的平原藏澳。據(jù)那時見過波濤的人說仁锯,像霧又像煙的鬼火群乘著波浪搖搖晃晃,不可測的風力煽動著無底的大洋翔悠,而圍著地軸而轉(zhuǎn)的海上暴風雨业崖,將人類的脆弱、渺小的本性暴露無遺蓄愁,人心被吸引到幽冥的境界双炕,也許這樣的東西是屢見不鮮吧。
嵐の話になって婆さんは古い記憶の中から恐ろしくも凄かった嵐を語る撮抓。辰さんが板敷から相槌をうつ妇斤。いつかの大嵐には黒い波が一町に余る浜を打上がって松原の根を洗うた。その時沖を見ていた人の話に丹拯、霧のごとく煙のような燐火(りんか)の群が波に乗って揺らいでいたそうな站超。測られぬ風の力で底無き大洋をあおって地軸と戦う浜の嵐には、人間の弱い事乖酬、小さな事が名殘(なごり)もなく露(あら)われて死相、人の心は幽冥の境へ引寄せられ、こんな物も見るのだろうと思うた剑刑。
狂風又添上暴雨媳纬,越來越厲害了,波濤聲漸漸近了施掏。
嵐は雨を添えて刻一刻につのる。波音は次第に近くなる茅糜。
回房間時七芭,穿過通到二樓的梯子臺階下面的披間,雞窩里的雞還在窸窸窣窣蔑赘,似乎無法入睡狸驳,凄涼地格格啼叫著预明。我鉆到被褥里傾聽著,松樹的樹梢也好耙箍,墻根的竹子也好撰糠,都發(fā)出持久而銳利的叫聲。在這樣的夜晚辩昆,波濤中有死去的人們的靈魂阅酪,乘風破浪,漂流而來汁针,放聲悲鳴术辐,想起剛才關(guān)于鬼火的故事,我將頭用力地隱藏在睡衣的袖子中施无。盡管如此辉词,風聲還是追蹤而來,拍著防雨套窗猾骡,真是可怕瑞躺。
室へ帰る時、二階へ通う梯子段(はしごだん)の下の土間(どま)を通ったら兴想、鳥屋(とや)の中で鷄がカサコソとまだ寢付かれぬらしく隘蝎、ククーと淋しげに鳴いていた。床の中へもぐり込んで聞くと襟企、松の梢か垣根の竹か嘱么、長く鋭い叫び聲を立てる。このような夜に沖で死んだ人々の魂が風に乗り波に漂うて來て悲鳴を上げるかと顽悼、さきの燐火の話を思い出し曼振、しっかりと夜衣(よぎ)の袖の中に潛む。聲はそれでも追い迫って雨戸にすがるかと恐ろしかった蔚龙。
狂風又添暴雨冰评,越來越厲害,波濤聲漸漸近了木羹。
嵐は雨を添えて刻一刻につのる甲雅。波音は次第に近くなる。
天亮方才風平浪靜坑填,雨也止了抛人,不過波濤的聲音越發(fā)高漲。
明方にはやや凪(な)いだ脐瑰。雨も止んだが波の音はいよいよ高かった妖枚。
起床后馬上去看海濤,向房后的土堤出發(fā)苍在。
起きるとすぐ波を見ようと裏の土堤へ出た绝页。
熊先生的小屋被毀壞得不像樣子荠商。防雨的粗草簾子飛到了向遠處堤壩下,竹子立柱已經(jīng)傾倒续誉,裝飾房檐的長紙條在雨水的拍打下與松樹的青葉一起散落一地莱没。啤酒瓶里的花、芋頭的切片一片散亂酷鸦,熊先生的被褥都被淋得濕透了饰躲。我到處尋找熊先生,卻哪里都見不到他的身影井佑。
熊さんの小屋は形もなく壊れている属铁。雨を防ぐ荒筵は遠い堤下へ飛んで竹の柱は傾き倒れ、軒を飾った短冊は雨に叩けて松の青葉と一緒に散らばっている躬翁。ビール罎の花も芋の切れ端も散亂して熊さんの蒲団は濡れしおたれている焦蘑。熊さんはと見廻したが何処へ行ったか姿も見えぬ。
懷著惻隱之心盒发,我下了海堤例嘱,走向海邊。沙田里的白薯的藤蔓被攪亂了宁舰,一片荒蕪拼卵,暴風雨的余波將白色的葉子翻轉(zhuǎn)過來。海上還是一片昏暗蛮艰,破碎的雨云之尾垂掛在鴻島上方腋腮,與從海岸登陸的潮霧混為一體∪姥粒靠近海岬的巖石之間奔騰的波濤即寡,就像一頭披散著白色鬃毛的狂暴的銀毛獅子。暗綠色的渾濁的波濤洗刷著沙灘袜刷,將沖上岸的海藻揉得粉碎麸拄。無數(shù)海蜇被沖到五色的細沙上粪薛,閃著美麗的光冠桃。
惻然(そくぜん)として浜辺へと堤を下りた中贝。砂畑の芋の蔓は掻き亂したように荒らされて、名殘の嵐に白い葉裏を逆立てている萧豆。沖はまだ暗い奸披。ちぎれかかった雨雲(yún)の尾は鴻島の上に垂れかかって、磯から登る潮霧と一つになる炕横。近い岬の巖間を走る波は白い鬣(たてがみ)を振り亂して狂う銀毛の獅子のようである源内。暗緑色に濁った濤(なみ)は砂浜を洗うて打ち上がった藻草をもみ砕こうとする。夥(おびただ)しく上がった海月(くらげ)が五色の真砂(まさご)の上に光っているのは美しい份殿。
飛濺的水珠濺入寬松睡衣的胸前膜钓,我打了個冷戰(zhàn),偶而向炮臺所在方向看去卿嘲,只見一個人影隱隱約約蹲在潮霧中的海灘上颂斜,一看就知道是熊先生。他那柿色的圓筒褲外沒有穿小倉布上衣拾枣,正在收集昨夜被暴風雨刮走的木板片沃疮。我下意識地向他的方向走去。他古銅色的臉像往常一樣梅肤,專心致志地在海藻中搜尋著司蔬,臉上看不到一絲憂愁的影子。他沒有注意到我的靠近姨蝴,一門心思將拾到的東西向沙灘的高處投去俊啼。即使潮水逼近腳邊也是一副無所謂的樣子,連不時濺到頭上的浪花水珠也不擦一下左医。
寛(くつろ)げた寢衣(ねまき)の胸に吹き入るしぶきに身顫(みぶる)いをしてふと臺場の方を見ると授帕、波打際(なみうちぎわ)にしゃがんでいる人影が潮霧の中にぼんやり見える。熊さんだと一目で知れた浮梢。小倉(こくら)の服に柿色の股引(ももひき)は外にはない跛十。よべの嵐に吹き寄せられた板片木片を拾い集めているのである。自分は行くともなく其方(そっち)へ歩み寄った秕硝。いつもの通りの銅色(あかがねいろ)の顔をして無心に藻草の中をあさっている芥映。顔には憂愁の影も見えぬ。自分が近寄ったのも気が付かぬか远豺、一心に拾っては砂浜の高みへ投げ上げている奈偏。腳元近く迫る潮先も知らぬ顔で、時々頭からかぶる波のしぶきを拭おうともせぬ憋飞。
那些不知從何處海灘隨波漂流而來的木板片霎苗,都有著過去的歷史,波濤將它們埋葬了榛做,讓人見識到悲慘的結(jié)局唁盏。誰也不認識的熊先生,半生無依無靠检眯,已經(jīng)從人們的心中被遺忘了厘擂。他為了給自己不久將來的墳墓而撿起漂流的木板、那凄慘的身影深深刻在我的心中锰瘸。
何処の浦辺からともなく波に漂うて打上がった木片板片の過去の歴史は波の彼方に葬られて刽严、ここに果敢(はか)ない末を見せている。人の知らぬ熊さんの半生は頼みにならぬ人の心から忘られてしまった避凝。遠くもない墓のに流木を拾うているこのあわれな姿はひしと心に刻まれた舞萄。
以這個壯觀的自然場面作為背景眨补,加上這個無所欲望的熊先生,見到這個場景的剎那間倒脓,我的心中百感交集撑螺,無法下筆,不知用什么詞語來表達崎弃。
壯大なこの場の自然の光景を背景に甘晤、この無心の熊さんを置いて見た剎那(せつな)に自分の心に湧いた感じは筆にもかけず詞(ことば)にも表わされぬ。
回到宿舍饲做,女傭八重正在打掃房間线婚。 “熊公公的府上倒塌了∨杈”她一邊說塞弊,一邊疊睡衣∽鹤伲“嗨居砖,怪可憐的那個人,他老婆在的時候驴娃,他可不是這樣啊奏候。”她像是感同身受似的唇敞,感慨地說道蔗草。我對此無言以對,只是依靠著走廊的立柱疆柔,呆呆地眺望著暴風散去后白云浮現(xiàn)的天空咒精。
? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? (明治三十九年十月《杜鵑》)? ? ? ? ?
宿へ帰ったら女中の八重が室の掃除をしていた】醯担「熊公の御家はつぶれて仕舞ったよ」と云ったら模叙、寢衣を畳みながら「マア可哀相にあの人も御かみさんの居た頃はあんなでもなかったんですけれど」と何か身につまされでもしたようにしみじみと云った。自分はそれに答えず縁側(cè)の柱に憑れたまま鞋屈、嵐も名殘と吹き散る白雲(yún)の空をぼんやり眺めていた范咨。
? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? (明治三十九年十月『ホトトギス』)
①町:距離單位,1町約為109.09米厂庇。
②黑潮:日本近海最大的海流渠啊,屬于暖流,沿日本諸島的太平洋海岸向東北流動权旷,海流呈深藍色替蛉。
③詩箋:短冊(たんざく)。寫和歌、俳句等用的窄長條厚紙躲查。
④景石:捨石(すていし)它浅。日本庭院中,為了增添風致而在各處散置的石頭熙含。
⑤義太夫:即凈琉璃罚缕。
⑥町:在這里不是距離單位艇纺,而是面積單位怎静。1町約為0.99公頃。
⑦炮臺場:日本為進行海岸防御而設(shè)在海岸附近的炮臺黔衡。
(完)
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