「君たちはどう生きるか」宮崎駿監(jiān)督が铸敏、新作映畫について語(yǔ)っていたこと。そして吉野源三郎のこと
宮崎駿監(jiān)督の新作「君たちはどう生きるか」ポスター=スタジオジブリのTwitterより
宮崎駿監(jiān)督の10年ぶりとなる長(zhǎng)編アニメーション映畫「君たちはどう生きるか」が悟泵、7月14日から全國(guó)で公開される杈笔。吉野源三郎の同名の著書とはまったく違うストーリーが展開されるという以外、詳細(xì)は伏せられたままだ糕非。とある縁で宮崎監(jiān)督に面會(huì)した筆者が蒙具、新作について監(jiān)督が語(yǔ)っていた言葉や、鑑賞して感じたことなどを振り返った朽肥。（文：吉野太一郎）
【注意】この記事は禁筏、映畫「君たちはどう生きるか」の內(nèi)容を含みます。
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「私自身衡招、訳が分からない」
「おそらく篱昔、訳が分からなかったことでしょう。私自身始腾、訳が分からないところがありました」州刽。
2023年2月下旬、東京都內(nèi)のスタジオで上映された浪箭、「君たちはどう生きるか」の初號(hào)試寫穗椅。米津玄師の歌うピアノバラードが流れ、エンドロールが終わった瞬間奶栖、燈りが點(diǎn)き匹表、宮崎駿監(jiān)督のコメントが読み上げられた。
客席から軽い笑い聲が漏れた驼抹。私もその一人だった桑孩。あまりの展開の速さと拜鹤、盛り込むだけ盛り込まれた情報(bào)を消化しきれず框冀、茫然と座り込んでいたが、その言葉で我に返った敏簿。
これは「宮崎アニメ」の集大成なのか明也、吉野源三郎の著書『君たちはどう生きるか』の再解釈なのか宣虾。とにかく、1回見ただけではとても全容を把握できなかった温数。
「自分のことをやるしかない」
今回の作品は绣硝、公開前のプロモーションも、メディア関係者向けの試寫も一切ないまま公開日を迎えた撑刺。異例の態(tài)勢(shì)の中鹉胖、內(nèi)容は無(wú)論、見たことすら口外無(wú)用のキャスト?スタッフ向け試寫に够傍、なぜ私と両親が呼ばれたのかといえば甫菠、父が『君たちはどう生きるか』の著者?吉野源三郎の長(zhǎng)男で、私が孫にあたるからだ冕屯。
その5年ほど前の2017年11月寂诱、父と私は東京?小金井のスタジオジブリに招かれ、宮崎監(jiān)督と対面していた安聘。さらにさかのぼること半月ほど前痰洒、とあるイベントで宮崎監(jiān)督が突然、次回作のタイトルが「君たちはどう生きるか」だと明らかにし浴韭、ニュースなどで話題になっていた丘喻。親族としては寢耳に水だったのでかなり驚いたのだが、宮崎監(jiān)督は「うっかり喋ってしまいました」と詫びた上で念颈、作品について語(yǔ)り始めた仓犬。
2017年11月、次回新作について父に話す宮崎駿監(jiān)督舍肠。手元に搀继、古びた吉野源三郎作『君たちはどう生きるか』が置かれていた=吉野太一郎撮影
小學(xué)生のとき、教科書に載っていた『君たちはどう生きるか』の冒頭部分に強(qiáng)い印象を受けたという宮崎監(jiān)督は翠语、年季の入った同書をスタジオに持參していた叽躯。若い制作スタッフにも読むよう勧めたところ「この本はまだ生きているね」と好評(píng)だったといい、作品のタイトルを決める段になって肌括、一人が「『君たちはどう生きるか』がいい」と提案したのだという点骑。制作は當(dāng)時(shí)まだ始まったばかりだったが、映畫の序盤とラストシーンにこの本が登場(chǎng)することも谍夭、宮崎監(jiān)督は既に決めていた黑滴。
宮崎監(jiān)督によれば、引退宣言を撤回して臨んだ今回の作品は「ずっと自分が避けてきたこと紧索、自分のことをやるしかない」という思いだったそうだ袁辈。「陽(yáng)気で明るくて前向きな少年像（の作品）は何本か作りましたけど珠漂、本當(dāng)は違うんじゃないか晚缩。自分自身が実にうじうじとしていた人間だったから尾膊、少年っていうのは、もっと生臭い荞彼、いろんなものが渦巻いているのではないかという思いがずっとあった」
「僕らは葛藤の中で生きていくんだってこと冈敛、それをおおっぴらにしちゃおう。走るのも遅いし鸣皂、人に言えない恥ずかしいことも內(nèi)面にいっぱい抱えている抓谴、そういう主人公を作ってみようと思ったんです。身體を発揮して力いっぱい乗り越えていったとき寞缝、ようやくそういう問題を受け入れる自分ができあがるんじゃないか」
2017年11月齐邦、父（左端）や私を「君たちはどう生きるか」の制作現(xiàn)場(chǎng)に案內(nèi)する宮崎駿監(jiān)督=吉野太一郎撮影
監(jiān)督の自敘伝か 『君たちは～』の再解釈か
そんな話を聞いた上で映畫を見ると、今作の主人公の牧眞人（まき?まひと）少年は第租、宮崎監(jiān)督の少年時(shí)代をモデルにしたのだと理解が行く措拇。
時(shí)は太平洋戦爭(zhēng)中の1944年、東京を襲った空襲で入院中の母を亡くし慎宾、父が経営する戦闘機(jī)工場(chǎng)とともに丐吓、一家は郊外へ疎開する。出迎えたのは父の再婚相手となった母の妹趟据。お腹に新たな命が宿っている新しい母を券犁、眞人は受け入れられず、転校先でも孤立する汹碱。そんなある日粘衬、疎開先の屋敷で眞人は偶然、1冊(cè)の本を見つける咳促。
屋敷の庭の森には稚新、廃屋となった洋館が建っている。眞人の「大おじ」にあたる伝説の人物が建てたという跪腹。やがて眞人の前に「母があなたを待っている褂删。死んでなんかいませんぜ」と人間の言葉を喋る青いサギが現(xiàn)れ、導(dǎo)かれるように冲茸、眞人は洋館の中へと進(jìn)んでいく――屯阀。
ここから先は「宮崎アニメの集大成」のような不思議ワールドの冒険が描かれるのだが、少年の成長(zhǎng)というテーマが共通するからか轴术、宮崎監(jiān)督が吉野作『君たちはどう生きるか』を再解釈したのではないかと思わせる場(chǎng)面も登場(chǎng)する难衰。
『君たちは～』の主人公「コペル君」こと本田潤(rùn)一少年は父親を亡くしており、親代わりでもある「叔父さん」との會(huì)話や交換ノートを通じて成長(zhǎng)していく逗栽。映畫の中で交わされる眞人と大おじの対話は盖袭、コペル君と叔父さんの対話を思い起こさせる。大おじが眞人に伝える「お前の手で爭(zhēng)いのない世を作れ」という言葉は、戦中生まれの宮崎監(jiān)督が次世代に託すストレートなメッセージだろう苍凛。
そういえば中盤に登場(chǎng)する「ワラワラ」というキャラクターは、宮崎監(jiān)督が小學(xué)校時(shí)代に読んだ『君たちは～』の冒頭部分に登場(chǎng)する兵志、銀座のデパートの屋上からコペル君が見下ろした群衆(zhòng)にも見える醇蝴。ではあの場(chǎng)面は、この場(chǎng)面は……次々と出現(xiàn)する謎めいた仕掛けに想罕、まったく分析が追いつかないまま悠栓、2時(shí)間4分はあっという間に過(guò)ぎる。
祖父?吉野源三郎と私
試寫からの帰り道按价、ふと思った惭适。眞人少年が、遙か世代の離れた大おじと対話したように楼镐、私も今癞志、祖父と直接対話できたら、どんな言葉を交わすだろうか框产。
1978年5月凄杯、祖父母宅で私の誕生祝いをした時(shí)の寫真らしい。右から當(dāng)時(shí)5歳の私秉宿、弟戒突、祖父?吉野源三郎、祖母
私が小學(xué)校に入る前描睦、祖父は2軒隣に住んでいて膊存、訪ねて行くと絵本を読んでくれたり、似顔絵を描いてくれたりと忱叭、孫の私をかわいがってくれた隔崎。既に80近い高齢で、およそ3回に1回は床に伏せっていて「今日は具合が悪いからごめんね」と追い返されたが韵丑、やがて入退院を繰り返すようになり仍稀、近づくこともできなくなった。肺や喉の疾患が悪化し埂息、最期は話すこともできなくなった祖父は技潘、私が小學(xué)校2年のとき、82歳で死去した千康。
祖父は戦前享幽、陸軍を除隊(duì)後に治安維持法違反に問われて投獄され、軍法會(huì)議にかけられたが九死に一生を得た拾弃。釈放後に作家?山本有三の少年少女向け書籍編集を手伝う中で執(zhí)筆した1冊(cè)が『君たちはどう生きるか』だった值桩。戦後は巖波書店の雑誌「世界」の初代編集長(zhǎng)などを務(wù)め、父には「反骨の背筋は伸びているか」「謙虛に堂々と」など豪椿、言論人の心構(gòu)えを折に觸れて説いていたというが奔坟、もちろん私は祖父から壯絶な半生を聞いたり携栋、薫陶を受けたりしたことはない。
祖父の死後も『君たちは～』は巖波文庫(kù)に収録され咳秉、多くの人に読み継がれてきた婉支。誇らしくもありつつ「?jìng)ゴ螭胜獱敜丹蓼颏证沥恰工胜嗓妊预铯欷毪韦浃渲睾嗓扦猡ⅳ辍⒎e極的には明かしてこなかったが澜建、新聞?dòng)浾撙浈ΕД志幖撙摔胜盲皮闀r(shí)折向挖、祖父の殘した他の著作を読み返すようになった】欢妫『職業(yè)としての編集者』（巖波新書）に収録された何之、戦前戦後の混亂を経て「世界」を創(chuàng)刊した回想録などは、親族が登場(chǎng)することもあって他人事とは読めず咽筋、時(shí)代が変わっても守るべき価値や教訓(xùn)があることを教えてくれる溶推。著作を読むという限定的な形ながら、これも祖父と交わす一種の対話なのかもしれない奸攻。
包裝紙の裏に祖父が描いた父と私（中央）悼潭、弟。鉛筆でサラサラと似顔絵を描くのが上手だった舞箍。
『君たちは～』は2017年に漫畫化され舰褪、21世紀(jì)らしい出で立ちで再び現(xiàn)れた。そして約6年の制作期間を経て、別作品とはいえ、宮崎駿監(jiān)督の同名の映畫が公開された私痹。この間の出來(lái)事は「やさしいおじいちゃん」しか覚えていない孫に、祖父が思いがけない贈(zèng)り物を?qū)盲堡皮欷郡瑜Δ扦猡ⅳ牖尉啤￥嗓长扦氦盲取Oの私を見守ってくれているのではないか窄绒。そして何かを問い続けているのではないか贝次。眞人を見守る「大おじ」のように。將來(lái)の息子に1冊(cè)の本を託した眞人の母のように彰导。
その問いかけにどう答えるか蛔翅。つまり私は、どう生きるか位谋。とりあえず山析、一度見ただけでは回収できなかった伏線を探しに、もう一度掏父、劇場(chǎng)に足を運(yùn)ぶことにしよう笋轨。祖父との新たな「対話」の糸口が見つかるかもしれない。
參考資料
【1】https://book.asahi.com/article/14953353
