天の果て 地の限り1

1.DE PROFUNDIS CLAMAVI~深き淵より我叫びぬ~1
愚考兜材、あやまち吊宋、罪窖维。
私の心に潛む悪意が今の私を動かす

私の罪深さを斷罪するのはあなたという存在だけ
どこにいてもあなたを想う私の心には今もかわりはないはずなのに

またずいぶんと遠(yuǎn)い旅にでてしまいました

これは人気のない丘になった景色の良い場所に皇帝によって作られた墓所でのささやかな出來事である。

よく晴れたある日绿店。
珍しくそこには人の姿があった吉懊。

その場所に訪れた人物は墓碑銘を指先で辿りながら長い邂逅に想いを馳せていた。

墓碑銘には”Mein Freund(我が友)”と添えられてある借嗽。

さらにその墓の主は生前に遡り怕午、軍務(wù)尚書、統(tǒng)帥本部総長淹魄、宇宙艦隊司令長官、
帝國軍最高司令官代理堡距、帝國宰相顧問の稱號までも皇帝陛下直々に贈られたと言う甲锡。

そう、それは皇帝陛下自らが親友と認(rèn)めた
ジークフリード?キルヒアイスに與えられた場所だった羽戒。

しばらくそこでじっとしていたが缤沦、ふとその墓の脇に添えられた花束に目をとめた。

「…アンネローゼ様が易稠、來ておられたのか」
そう小さな呟きを漏らすと彼は花束の中からそっと一厘花を手にとってその匂いを嗅いだ缸废。

この花は彼が生まれて初めて女性に贈った花。
アンネローゼに捧げた花だった驶社。

父の世話した蘭を彼は毎年アンネローゼの誕生日に贈り続けていたのだ企量。

今、墓の前にいる人物亡电。
それは本來墓の中にいる筈のジークフリード?キルヒアイス届巩、その人だったのである。

しばらく物思いに耽っていたキルヒアイスだったが
人目につかないようにそっとその場を離れた份乒。

キルヒアイスは自分を死んだことにして數(shù)年帝國と同盟との行き來を続けていたが
唯一自分の生存を知る過去の知人から呼び出しを受け新首都?フェザーンへと訪れていたのである恕汇。

キルヒアイスにとってこれがローエングラム王朝になってから初めてのフェザーンへの來訪になる。

自分が生きていることを知られないため
キルヒアイスは極力フェザーンへの出入りは控えていたのだが或辖、
2年の月日を経て瘾英、ローエングラム體制が整いつつある今
知人の呼び出しを機(jī)會にようやくフェザーンへやって來たのだ。

自分の墓所を訪問した翌日颂暇、キルヒアイスは夜半過ぎを狙って
人目を避けるようにして知人の住む屋敷を訪れた缺谴。

呼び出しを受けた過去の知人とは、バウル?フォン?オーベルシュタイン蟀架。
それはキルヒアイスの死を偽裝した共犯者の名前だった瓣赂。

キルヒアイスは入り口を通るでもなく
オーベルシュタインの私室へ勝手したたる他人の家のように足を踏み入れると
窓際で佇んでいたオーベルシュタインが庭先から現(xiàn)れたキルヒアイスの姿にようやく気がついた。

「…ようこそ」
その言葉にキルヒアイスは返事をかえすように小さく頷きを返し
招かれるままオーベルシュタインの部屋へと入っていく片拍。

リビングのテーブルセットに向かい合って腰を下ろすと
視線を合わせずしばらく沈黙を守っていた二人だったが煌集、
その沈黙を破るようにオーベルシュタインが話しを切り出した。

「あれから2年…か」
「…そう捌省、なりますね」

それは今は無きガイエスブルグ要塞での舊貴族連合との戦いの後の戦勝式典で起こった悲劇のことである苫纤。
だがそれが作られた悲劇だったことを知る者はこの二人しかいない。

二人の共犯の理由は唯一つ。

”全てはローエングラム候の御為に…”
ただ卷拘、それだけだ喊废。

『NO2不要論』
それは決して表にでることはなかったが、その昔二人が言い爭ったのは1度や2度の話ではない栗弟。
話し合いの決定打となったのはキルヒアイスとラインハルトの関係である污筷。

オーベルシュタインはその事実をわざわざ調(diào)べるまでもなく二人の関係を理解していた。
だがその関係は來るべきローエングラム王朝の存続のためにはあってはならないものだった乍赫。

”死こそ全てを分かつのだ瓣蛀。…古い歴史の神の宣誓書にもそうある”

キルヒアイスは死ななくてはならなかった雷厂。
生きてその身をラインハルトと分かつことなど二人にとって不可能なことだったからだ惋增。

ラインハルトとの諍いの後、オーベルシュタインに話を持ちかけたのも実はキルヒアイスだった改鲫。

「私にも新帝國のため…皇帝のため诈皿、その死をもって出來ることがあります」
それがガイエスブルグ要塞で起きた悲劇の引き金となってしまったのである。

ガイエスブルグ要塞でのキルヒアイスの死は予定されたものだった像棘。

ブラウンシュバイク公の棺を持參したアンスバッハの身體検査でその武器を密かにすりかえたこと稽亏。
すり返られた武器によってキルヒアイスは一時的な仮死狀態(tài)になっただけだったのだ。

オーベルシュタインがアンネローゼに連絡(luò)をとって
悲しみに打ちのめされているラインハルトをキルヒアイスの棺から引き離し
あらかじめ用意をしておいた偵察機(jī)に乗ってキルヒアイスはガイエスブルグ要塞を離れた讲弄。

そしてそのまま2年の月日が流れた措左。

その間にキルヒアイスが水面下であげた同盟?帝國?フェザーンでの諜報活動の成果は
今までたてたその武勲にも匹敵するだろう。

キルヒアイスとオーベルシュタインはその連攜をもって
地下の情報ネットワークを同盟?帝國?フェザーンに構(gòu)築させたのだ避除。

それはその昔『帝國史上最も優(yōu)秀で危険』とまで証された
ジークマイスターとミヒャールゼンが作り上げたといわれる
スパイ網(wǎng)に決して及ばないものではない怎披。

その情報を活用しラインハルトの傍で辣腕を振るっていたのはオーベルシュタインだったが
それはキルヒアイスから齎される正確な情報があってこそ可能にしたものだ。

「あなたからの呼び出しなんて…この2年で初めてのことです瓶摆。
今更私に一體なんの話があるというのですか凉逛?」

2年間の回想を打ち破ったのは薄暗い室內(nèi)から放たれたキルヒアイスの聲である。
そこでふと我にかえったオーベルシュタインは早速キルヒアイスに用件を切り出した群井。

「…帝國內(nèi)に不穏な動きがある」
穏やかでないオーベルシュタインのその言葉にキルヒアイスは目を剝いた状飞。

「とは、いっても內(nèi)亂分子の事ではない…卿のことだ」
「…私书斜?一體诬辈、一度死んだ人間になにがあるというのです?」
オーベルシュタインの言葉に喉を小さく鳴らしておどけたようにキルヒアイスが聞き返す荐吉。

「卿が実は生きている…という噂が流布し始めているということだ」
「…フッ焙糟、そんなものはただの噂でしょう。私をわざわざ呼ぶまでもなく
あなたお抱えの內(nèi)國安全保障局とやらにでも噂の元を斷たせればいい」

しばしの沈黙が流れた後オーベルシュタインの次の言葉を待っていたキルヒアイスだったが
その思考を読むようにキルヒアイスがさらに話を続ける样屠。

「それとも…噂の元である私を今度は本當(dāng)に殺しますか穿撮?」
クスリと笑ってキルヒアイスはオーベルシュタインにそう告げた缺脉。

”1度は死んだことになったこの身。最早嘆く者もいなく悦穿、帰るべき場所もない攻礼。
もう1度死んだところで何程のことか…宇宙を手に入れる、そういったあの人の願いはすでに果たされた栗柒。
あの人に會えないこの世になど私にはなんの未練もない”

「その気があるなら2年前にやっていた…」
溜息まじりにそう答えたのはオーベルシュタインである礁扮。
意外なオーベルシュタインの発言にキルヒアイスは少し驚きをもってオーベルシュタインを見やった。

「卿はこの2年…陛下のお傍を離れて瞬沦、穏やかな時を過ごせたか…深员?
陛下が同じようにこの2年過ごしていたと…卿は、本當(dāng)にそう思っているのか蛙埂?」

「…貴方にッ…貴方に一體なにが分かるというんです!遮糖?私たちのなにがッ」
オーベルシュタインのその言葉に思わず聲を荒げて反論するキルヒアイスである绣的。

この2年、キルヒアイスが心穏やかになど暮らせた訳がない欲账。

キルヒアイスからラインハルトの記憶が消える訳でもなく屡江、
離れた距離の分だけその想いをつのらせてキルヒアイスは眠れない夜をずっと過ごしてきた。

夜毎ラインハルトが夢に現(xiàn)れてはキルヒアイスを悩ませる赛不。

そんな気が狂いそうになる日々を惩嘉、キルヒアイスはラインハルトと揃いの懐中時計を握り締め
羊の數(shù)を數(shù)えるように何度もラインハルトの名前を唱えて過ごしてきたのである。

キルヒアイスは胸元に秘めてある懐中時計に洋服の上からそっと手を合わせ
胸元を押さえるようにしてそれを握りこむ踢故。

オーベルシュタインには何故かその様子が
懐中時計をいつもその手にいじらせているラインハルトの姿とかぶって見えていた文黎。

オーベルシュタインはそのまま首を振ってさらに話を続ける。

「…今の陛下は殿较、私たちの望んだ陛下ではない」
そしてオーベルシュタインはそう口を開いたのだった耸峭。

1.DE PROFUNDIS CLAMAVI~深き淵より我叫びぬ~2
キルヒアイスが死んだことによりアンネローゼからも決別されたラインハルトはまるで人が変わった。

以前にも増してまるで貪るように戦いを求め淋纲、戦場へと先頭をきって赴き劳闹、
感情を捨てたかのような非情な決斷もことなくしてみせる。

まるでその義務(wù)を果たすかのように洽瞬。

誰もが見ても完璧といえる狀態(tài)だ本涕。
以前との様子の違いなど他人の目からみれば気づくものではない。

だから最初はオーベルシュタインも
ラインハルトの異変に気づくことが出來なかった伙窃。

「卿のせいだ…卿はあの時菩颖、陛下の大切なものを奪っていってしまったのだ」

それは人間としてもっとも大切な感情。
他人に興味を示すことがなかったラインハルトの中に目覚めたただ一つの感情である对供。

アンネローゼとキルヒアイス位他。
このキーワードこそラインハルトの中にある人間的な感情の全てだ氛濒。

キルヒアイスとアンネローゼを失ったラインハルトは自分すら顧みる事をしない。

オーベルシュタインが後継者問題の話をもちかけた時鹅髓、
眉ひとつ動かさないままのラインハルトの一笑に終わった舞竿。

『玉座など欲しい者が奪い取ればいい…余の首を縦に振らせた者が次の王となる。
血統(tǒng)などで真の王など生まれやしない…ゴールデンバウム王朝がいい証拠ではないか』

さもつまらないとばかりにその話はそこで一方的に打ち切られてしまったのだ窿冯。

「…今骗奖、あの御方の目は未來ではなく過去に向けられている。
未來に生きようとしていない…あれでは醒串、ダメだ」

ラインハルトの薄氷の上に立ったような危ういバランスの精神狀態(tài)を
オーベルシュタインに決定づけたのはキュンメル事件だった执桌。

オーベルシュタインには読みきれてはいなかった。

ラインハルトとキルヒアイスのその関係芜赌。
光と影は常に同時にこそ存在するものだという必然を仰挣。

「…それで、私にどうしろというのです缠沈?」
キルヒアイスは強(qiáng)い視線をオーベルシュタインに向けながらさらに言葉を続けた膘壶。

「私はすでに死んだ過去の人間…そして私もまた過去に生きる者。
そんな私に一體なにが出來るというんですか洲愤、あなたはッ颓芭!私には未來など必要ない!」

それはキルヒアイスが吐きだすように口にした生々しい感情の吐露だった柬赐。

”どれだけ私があの人を愛したか…そしてどれだけの日々亡问、私があの人を想い続けたか。
過去にしか愛しいあの人はいない…だから私は過去をずっと見続ける…そう肛宋、ずっとッ”

「…それが卿の本音か」
「………ッ」
思わず口にしてしまったその言葉にキルヒアイスは口を押さえて先の言葉を飲み込んだ州藕。

キルヒアイスのその様子にオーベルシュタインはテーブルに肘をのせて手を組むと
顎をのせてさらに話を本題へと進(jìn)める。

「今この新帝國には未來が必要なのだ…卿もそう思わないか酝陈?
分かたれた魂はもとの在るべき姿に戻り今を慎框、そして未來のために生きるべきだ、と…」
「なにをいって…」

オーベルシュタインの言葉にキルヒアイスが返事を返そうと
うつむき加減になっていた顔を上げた時である后添。

キルヒアイス険しい表情を浮かべて辺りを見回すと笨枯、
靜寂を保っていたはずの庭からにわかに人の気配を感じとる。

”まさ遇西、か…これはッO诰?”
キルヒアイスはその時初めて自分がオーベルシュタインにおびき出されたという事実に気がついた粱檀。

「戻られよ…キルヒアイス提督洲敢。そして本來の自分の姿を思い出せ」
「冗談ではありません…ッ私は…私は、二度と戻らないッ」
キルヒアイスはそう告げると席を立ちあがり銃を手にしてカーテン越しに辺りを見回した茄蚯。

”…數(shù)が多い压彭。だが…今ならまだ気づかれずになんとか逃げられる”
そうしてキルヒアイスは決死の思いでオーベルシュタインの屋敷を脫出したのだった睦优。

ここで、話は少し前に遡る壮不。

『ジークフリード?キルヒアイスは生きている…』
この噂が上層部で話題に上ったのは皇帝?ラインハルトの居城汗盘、獅子の泉の會議室でのことだった。

皇帝ラインハルトがすでに退出した會議の後に
殘された面々でその噂について話しあうことになったのである询一。

「…有り得ない話だ隐孽。我々のそのほとんどがキルヒアイスの最期を
見屆けているというのに…全くもって馬鹿馬鹿しい」
そういって腕を前に組んだまま首を振ってみせたのはロイエンタールだ。

「ですが…近頃では健蕊、その噂が広まりつつあって陛下のお耳に入るのも時間の問題かと思われます…」
ミュラーのその言葉に會議室の中にざわめきが起こる菱阵。

ラインハルトにキルヒアイスの話題が禁忌も同然というのは
皆もすでに暗黙の了解の域にある話だからだ。

それがよもやこのような話題であってはなんとしてでもラインハルトの耳に入れる訳にはいかない缩功。

「まずい…それはまずいぞ晴及。なんとか噂の出所を摑めないのか…?このままではッ」
ミッターマイヤーが皆を見回しながらそう告げると
憲兵総監(jiān)を務(wù)めるケスラーが捜査狀況を皆に報告し始める嫡锌。

「…実は抗俄、それが全くのバラバラなのだ。
あまりに無作為に流されているため発信源がまるで特定できない」
內(nèi)國安全保障局も動いているが世舰、未だその噂の出所が判明できないとのことだった。

「ここ獅子の泉をはじめ…噂が上層部に集中しているというのがいささか気になる…」

マスコミや一般にはまるで流通のない噂槽卫。
それが直接ここに入っていることからみて內(nèi)部の人間がその情報操作をしていることは十分考えられる跟压。

「だが…噂自體になんのメリットもない。そこが問題なのだ」
ケスラーの言葉に思案にくれる會議室の面々だったがその時皆は揃って同じ考えに取りつかれていた歼培。

”…ジークフリード?キルヒアイスが生きていたら”

キルヒアイスの死後そう思わずにいられた人間はおそらくここには誰もいないだろう震蒋。
失って初めて実感したその存在の希少性。

ラインハルトと今のメンバー達(dá)の間の緩衝剤となりいつも自然にその場を収めていた躲庄。
しかも皆にはそれと気づかせることもなく…だ查剖。

そんなキルヒアイスの代わりになれる人間などどこにもいなかった。

”ジークフリード?キルヒアイスは特別だ…”
皆が口に出さずともそう思っていた噪窘。

戦略と戦術(shù)に於いてもその実力はすでに証明されており笋庄、
戦闘に関しては射撃をはじめ白兵戦に於いても右に並ぶ者なしとまでいわれた実力者だ。

ラインハルトの親友でありいつもその隣に當(dāng)然のようにあった存在倔监。

「だが…もし直砂、本當(dāng)に生きているとしたら何故陛下の下に戻らない…?」
「馬鹿な…こんな根も葉もない噂を信じるつもりか浩习?ロイエンタールッ」
ロイエンタールの発言に隣に座っていたミッターマイヤーが食って掛かる静暂。

「…落ち著け、たとえばの話だ」
「だが谱秽、ここで話あっても埒はあくまい…とにかくッ
出來れば陛下のお耳に入るまでにこの噂の出所を探らねば」

そういってミッターマイヤーが話を締めくくろうとした矢先のことである洽蛀。

ミッターマイヤー宛に通信兵からの連絡(luò)が入ってきた摹迷。
送られてきた內(nèi)容をミッターマイヤーが何気なく手元のモニターで再生させた。

「…なッ郊供、これはッO康铩?」
ミッターマイヤーが畫面に釘付けになったまま腰をあげ
そのまま食い入るようにその畫面を見つめている颂碘。

「なんて异赫、ことだ…これは一昨日の映像ではないか…ッ」
「どうした?ミッターマイヤー…なにかトラブルか头岔?」

ただ事ではないミッターマイヤーの様子にロイエンタールが聲をかけると塔拳、
ミッターマイヤーが少し身體を震わせて畫面を指差しながら言葉を返した。

「キルヒアイスだ…ここにキルヒアイスの姿が…
しかも峡竣、これは一昨日前のフェザーン市內(nèi)で撮影されている?恳帧!」
「おい适掰、なにをいって…」
ミッターマイヤーの叫ぶような聲に皆が目を剝いてミッターマイヤーの見ているモニターの前に集まった颂碧。
そしてそこに映し出されていた、その姿类浪。

「…ジークフリード?キルヒアイスッ载城!」
2年前と比べて少し大人びた精悍になったその姿に皆は驚かずにはいられなかった。

そうして噂の決定打はこの會議室の中で明らかになったのだった费就。

「ケスラー诉瓦、このモニタの裏をとれ…ッ!事実を確かめるのだ力细。
もし睬澡、もしこれが事実ならばなんとしても陛下にお知らせせねばならぬ…!眠蚂!」

ミッターマイヤーのその言葉にはっきりと頷きを返すとケスラーは畫像データを手に會議室を離れた煞聪。

會議室にいた誰もが興奮していた。

ジークフリード?キルヒアイスが生きて再びラインハルトの下へ戻れば
このローエングラム王朝は磐石のものとなる逝慧、と昔脯。

「………」
騒然となった會議室の中で、ただ一人オーベルシュタインだけが靜かにその様子を見守っていた笛臣。

ケスラーから一昨日のキルヒアイスの畫像データについて
確実な裏づけが得られたのは翌日になってからのことだった栅干。

ラインハルトにその報告をするため皆を代表して
ミッターマイヤーとロイエンタールが、ラインハルトの下に訪れていた捐祠。

執(zhí)務(wù)室で執(zhí)務(wù)をこなすラインハルトの傍では
すでに噂を耳にしている秘書官であるヒルダが不安げにその様子を見守っている碱鳞。

「…今、なんといった踱蛀?」
一連の報告を終えたミッターマイヤーに浴びせられたのは目を剝いたラインハルトが放った冷たい一聲だった窿给。

「すべて事実です…詳細(xì)は贵白、こちらの資料に」
「馬鹿な…ッ」
ラインハルトはロイエンタールの差し出した資料を手を払って跳ね除ける。
そして拳を震わせてさらに聲を張り上げた崩泡。

「有り得ない…ッ一體なにを禁荒、世迷言をいっておるのだ、卿らは…ッ角撞!」
ラインハルトの豪奢な金髪が宙を舞い呛伴、普段ほとんど表に出なくなっていた本來のラインハルトの気性が
ここになって露わになる。

「…陛下は以前谒所、おっしゃいました热康。キルヒアイスは自分を置いて先に死ぬ訳がない、と」
「ええい…ッ下がれッこれ以上なにも聞きたくない劣领!」

ラインハルトのその言葉にミッターマイヤー達(dá)が従わない訳にもいかず
ラインハルトに一禮するとその場をあとにした姐军。

執(zhí)務(wù)室にはラインハルトが跳ね除けた資料が散亂していた。

あまりの衝撃的な話にラインハルトはその息を亂れさせ短く荒い息を連続的に吐き続ける尖淘。

部屋に殘されたヒルダが足元に散亂する書類を拾い上げてその胸元にまとめた時
それまで沈黙の中にあったラインハルトがようやくその口を開いた奕锌。

「…今日の執(zhí)務(wù)は、これまでとする」
有無を言わせないラインハルトの言葉にヒルダが頷きを返すと一禮してそのまま出口へと背を向けた村生。

「すまないが…その資料は置いていってくれ」
そして付け足すようにラインハルトは背中を向けたヒルダにそう告げたのだった惊暴。

執(zhí)務(wù)室に取り殘されたラインハルトは
しばらくの間その書類に目を向けることも出來ずに途方にくれていた。

”キルヒアイスが…生きて趁桃、いる辽话?オレはまた悪い夢の続きでも見ているのか?”

自分の手を眺めながらラインハルトはキルヒアイスの最期を見屆けた時のことを思い出す镇辉。
あの時ラインハルトの手の平はキルヒアイスの血で染まっていた。

『ラインハルト様…』
今日まで一瞬たりとも忘れたことはない贴捡。
その姿忽肛、その聲、そして思い出の數(shù)々烂斋。

何度も夢にみた屹逛。
誰よりも近くにいて、そして二人はいつも二人でいて一つの存在だった韧掩。

そして溫もり灸眼。
體溫を分け合うように身體を重ねた日々匹中。

『二人で同じ夢をみよう…』
それから、ずっと二人は一緒だった淑掌。
それが永遠(yuǎn)に続くものだとラインハルトはなぜかそう思い込んでいた。

ガイエスブルグ要塞でのキルヒアイスの死をその目にしてしまうまでは…

”死んでも蝶念、生きても…オマエはオレを悩ませる抛腕。オマエだけが”
胸元の懐中時計を握り締めそんな思いにかられたラインハルトだった芋绸。

”…もう夢でもなんでもいい、オマエに觸れたいッ”
そうして意を決したラインハルトは機(jī)の上にまとめられた書類にようやく目を通し始めたのだった担敌。

結(jié)論としてはその事実を確かめることは実に簡潔なことであった摔敛。
答えはキルヒアイスの墓所にある。

半永久保存にされた棺はおそらくそのままキルヒアイスの姿を殘していることだろう全封。
その遺體がキルヒアイス自身かどうかなど今の現(xiàn)代醫(yī)學(xué)で証明することはたやすいことだ马昙。

だがキルヒアイスの墓を暴くなどラインハルトにはとても考えられない。

その上…

”それに変わる確実な方法もない…”

いろいろと交錯した思いに駆られながら
ラインハルトは長い間執(zhí)務(wù)室で思案することになったのである刹悴。

1.DE PROFUNDIS CLAMAVI~深き淵より我叫びぬ~3
その日の夜半過ぎのことである行楞。

ミッターマイヤーはラインハルトに突然深夜の呼び出しを受けたのだ。
待ち合わせ場所へ向かう途中でミッターマイヤーはロイエンタールと出くわした颂跨。

「ロイエンタール…おまえもまさか敢伸、陛下に?」
「ああ…おまえもか恒削?ミッターマイヤー…
だが池颈、待ち合わせがここというのは…いささか気になるな」

そんな會話をしながら二人はラインハルトとの待ち合わせの場所へと急いだ。

そこはキルヒアイスの墓所钓丰。
月明かりに照らされる墓の前にはすでにラインハルトの姿があった躯砰。

少し傍を離れて控えているのは親衛(wèi)隊長のキスリングである。

「…すまないな携丁、二人共…こんな夜更けに」
「いえ…」
そしてミッターマイヤーとロイエンタールはラインハルトに一禮すると
その背後に立ってキルヒアイスの墓の前に佇んだ琢歇。

「他に確実な方法がない…だがあまり人目につくやり方はしたくない…すまないが、手伝ってほしい」
「…陛下梦鉴?」

「これから墓を暴く…」
「………ッ」
その言葉に二人は激しい驚きとともに大きく目を見開いた李茫。

だがそういってラインハルトは二人の前でキルヒアイスの墓の前で屈み込むと
美しい指先を泥にまみれさせ土を掻くようにしてラインハルトが墓を掘り始めたのだ。

あまりのラインハルトの姿に慌ててミッターマイヤーが止めに入った肥橙。

「陛下…お待ちをッ」
「…これしか魄宏、これしか自分を納得させられる方法が見當(dāng)たらないのだ。
親友の墓を暴くなど存筏、卿らからすれば言語道斷かもしれない…それでも宠互、余はッ」

”これが現(xiàn)実だという…キルヒアイスが生きている証が欲しいのだッ”

自らの血を吐き出すようにそう告げるラインハルトのその言葉。
キルヒアイスの棺を見るその瞬間を見逃さないかのように見開かれた目椭坚。

そしてラインハルトの言葉とともに泥にまみれゆく指先に予跌、
ミッターマイヤーとロイエンタールは胸に深い痛みを覚えた。

「…シャベルをもってきてくれ善茎、ミッターマイヤー券册。
朝までには終わらせないと人目についてしまう…」
「わかった!」
ミッターマイヤーがシャベルを取って戻るとそのままキルヒアイスの墓を掘り始める。

そしてそのまま掘り進(jìn)みやがてその棺の姿が顕わになった汁掠。

「……こ略吨、これは!考阱?」
「一體どういうことなんだ4渲摇?オレ達(dá)は狐にでも化かされているのか…F蛘ァ秽之?」

以前全員でその棺の中にキルヒアイスの姿を見ていたはずだった。
だが今目の前にある棺にはキルヒアイスどころか人間の姿形もない吃既。

「空考榨、だ…」
困惑する3人だった。
ミッターマイヤーとロイエンタールが顔を見合わせそしてそのままその視線をラインハルトの方へと映すと
そこには腰を砕けさせて唖然とするラインハルトの姿がある鹦倚。

「馬鹿…な河质、有り得ない…ッ余はずっと棺の傍にいた…こんな訳がないッ」
あまりの出來事にラインハルトは左右に首を振りながら棺の前に膝をつけて叫び聲をあげた。

眠りにおちるように安らかなキルヒアイスのその表情は未だラインハルトの脳裏に焼きついている震叙。

「…陛下掀鹅、お言葉を返すようですが。本當(dāng)に片時も離れませんでしたか媒楼?」
「おい乐尊、ロイエンタール…ッ控えろ」
そう話を切り出したロイエンタールに慌てて止めに入るミッターマイヤーである。

「なに…划址?」
「ですから…棺に入る時は我々全員でその姿を確認(rèn)しています…そのあと扔嵌、です。
棺の中をよくご覧下さい夺颤、陛下…」

ロイエンタールは棺の中に仕掛けられた立體映像裝置を指し示した痢缎。

「棺は一度閉じられると外から誰かが開けるまで開きません…この映像裝置は棺には元々なかったはず。
…だとすれば世澜、外から棺を開けなければこの裝置は入れられない」

「………ッ独旷!」
その言葉にラインハルトは大きく目を見開かせた。

自分は片時もキルヒアイスの棺から離れなかったか宜狐?

記憶の奧に押さえ込んでいたその當(dāng)時の辛い記憶を必死で辿るラインハルトだったが
ようやくここに來てその全てを思い出す势告。

キルヒアイスの訃報を聞いたアンネローゼからの連絡(luò)が入った時
アンネローゼと話をすべく確かにその時ラインハルトはその場を離れた蛇捌。

そしてそのことを知らせにきたのは…

記憶の中にその人物の顔がラインハルトの中に浮かびあがると
これまで見たことのない光がラインハルトのその瞳に宿る抚恒。

拳を握り締め、歯を食いしばりながら
わなわなと怒りをその表情に顕わにさせてラインハルトが口にしたその名は络拌。

「…オーベルシュタインッ俭驮!」

バウル?フォン?オーベルシュタイン。
その當(dāng)時、ラインハルトの傍らで宇宙艦隊総參謀長を勤めていた男の名前だった混萝。

「今すぐオーベルシュタインを出頭させろ遗遵!…大至急だッ」
「は…ッ」

そうして下されたラインハルトの命令にミッターマイヤーとロイエンタールは敬禮でそれに答え
キルヒアイスの墓所を駆け抜けてその場を後にしたのだった。

その場に取り殘されることになったラインハルトは
泥まみれになった指先でキルヒアイスに宛てた墓碑銘をそっと撫でた逸嘀。

”…キルヒアイス车要。オレは信じきれてはいなかった。
そうとも崭倘、オマエがオレを置いて先に死ぬ訳がない…”

確かな確信を得たラインハルトは拳を空で握りしめる翼岁。

”もうオレは間違えない…オレは全てを手に入れる”
そうして決意を新たに暗闇の先に光を見いだしたラインハルトは
獅子の泉に向かって往々しく歩き始めたのだった。

オーベルシュタインの屋敷に
ミッターマイヤーとロイエンタールが到著したのはそれからまもなくのことである司光。

「…これは琅坡、両提督。お揃いで」
別段驚いた様子も見せずにオーベルシュタインは入り口で二人を出迎えた残家。

屋敷はすでに憲兵に取り囲まれた狀態(tài)にある榆俺。
それは全てミッターマイヤーの連絡(luò)を受けたケスラーが手配したものだ。

その後を追うようにようやく二人がオーベルシュタインの屋敷に到著したのだった坞淮。

「だが…少し遅かったようだ」
ミッターマイヤーとロイエンタールの前で悪びれもせずにオーベルシュタインがそう答える茴晋。

「なにを戯けたことを…ッ」
「すでに卿が2年前にガイエスブルグ要塞で何をしたのかは判明しているのだぞ…」
凄むようにオーベルシュタインとの距離を詰める二人にオーベルシュタインはさらに言葉を続けた。

「…ですが碾盐、せっかく上手くキルヒアイス提督をこちらへ呼び出したのに…
まんまと逃げられてしまいましたよ晃跺?」
「ま、まさかッいたのか毫玖?…キルヒアイスが掀虎、ここに!付枫?」

思いがけないオーベルシュタインのその言葉に目を剝いたミッターマイヤーに
オーベルシュタインは頷きを返してそれを肯定する烹玉。

「もしや…卿か!キルヒアイスの情報を上層部に流していたのは…2病二打?」
「同じ手は2度とは使えませんぞ…おそらくキルヒアイス提督はもうここへは來ないでしょう」

今回の騒動を動かしていたのはオーベルシュタインであったことに
ここに到って二人はようやく気がついたのである。

「何故だ…何故こんな真似を…ッ」
仲の良い親友の二人を交互に眺めながらオーベルシュタインは首を振ってこう答える掂榔。

「…おそらく继效、あなた方にはその理由は一生わかりはすまい」
獨り言のようにそう言ってオーベルシュタインは小さな溜息を漏らしたのだった。

一瞬顔を見合わせたロイエンタールとミッターマイヤーだったが
すぐに視線をオーベルシュタインに戻すと話を再開させる装获。

「こんな茶番劇を仕組んだ理由をお話願えるか…オーベルシュタイン」
「それとも…陛下の御前で直接お話申し上げるか瑞信?」

「…よかろう。私の知るこれまでの真相は穴豫、陛下に直接お伝えすることにしよう」

そうしてオーベルシュタインは二人に同行して
ラインハルトの待つ獅子の泉へと向かったのだった凡简。

ケスラーに出動要請がかかったのをきっかけに會議室には將校達(dá)がすでに集まっていた逼友。
早朝からラインハルトが全員に召集をかけたためである。

これまでの狀況はラインハルトに変わり獅子の泉へ戻ってきた
ミッターマイヤーとロイエンタールによって説明が行われた秤涩。

結(jié)局キルヒアイスの足取りはこれを境に完全に斷たれてしまったのだった帜乞。

「ものの見事に…真っ白だ、全く大した手並みだ」
手にとった書類に目を通したラインハルトが呆れたような聲でそう告げる筐眷。

「面目次第もございません…」
ケスラーを始めとする直接オーベルシュタインの屋敷にむかった
ミッターマイヤーとロイエンタールがラインハルトに頭を下げて謝罪した黎烈。

「…よい、それよりオーベルシュタイン匀谣。卿の話を聞こう」
靜かな怒りを秘めた笑みを浮かべながらラインハルトは挑戦的な瞳をオーベルシュタインに向けた怨喘。

「それでは…まず、2年前のことからでもお話しましょうか」
そういってこれまでの事情をオーベルシュタインは語り始める振定。

オーベルシュタインによって繰り広げられるその話に
皆はそのスケールの大きさに度肝を抜かれることとなった必怜。

この2年でキルヒアイスが形成したその情報網(wǎng)によって
帝國による銀河統(tǒng)一が驚異的にその加速度を増したこと。

銀河統(tǒng)一を推し進(jìn)めるラインハルトの行動を助けるように動いていたのは時だけではなかった后频。

それにあわせてありとあらゆる情報がキルヒアイスから
オーベルシュタインの下に齎されていたのである梳庆。

その情報量は帝國だけでなく同盟、フェザーン卑惜、果ては地球にまでに及んだという膏执。

キルヒアイスをその行動に駆り立てていたものは決して欲ではない。
すべてはラインハルトの銀河統(tǒng)一のためだ露久。

「…だが更米、なぜキルヒアイスは死ななくてはならなかったのだ?」
ラインハルトの素樸な疑問だった毫痕。
オーベルシュタインはその疑問に左右に首を振って答えを返す征峦。

「それは陛下が直接本人にお聞きになるのがよろしいでしょう…
私ごときが答えるべきものではありません」

「…そういうこと、か」
ラインハルトは少し考えるように視線を泳がせながらそう口にした消请。

ラインハルトほどキルヒアイスのことをよく知る人間がいないように
キルヒアイスもまたラインハルトのことをよく知りそれを深く理解している栏笆。

そう考えればおのずとその考えや行動は読めてくる。

”だが臊泰、オマエはオレのものだ…オレは決してオマエを手離しはしない蛉加。
全てを奪ってこの宇宙を手に入れたようにこの手にオマエを取り戻してみせよう”

ラインハルトは立ち上がりその身を覆うマントを翻し、會議室の面々に宣言する缸逃。

「人間狩りだ…手段は選ばなくていい针饥。
キルヒアイスをなんとしてでも余の下に引きずり出すのだ…ッ!」

こうしてかつてない大規(guī)模なキルヒアイスの捜索が
このフェザーンにおいて開始されるに到ったのである需频。

獅子の泉が騒然となったまま夜が更けていく丁眼。

そんな中自分の寢室でラインハルトはベッドで身體を休めながら
ミッターマイヤーの元に寄せられたキルヒアイスの映像をモニターに表示させた。

2年の月日の間にさらにキルヒアイスは精悍さを増していた贺辰。

”また背が伸びたか…户盯?”
ラインハルトはモニターに映るキルヒアイスの今の顔の輪郭を指先で辿るように撫で上げる。

なぜ逃げる…饲化?
オマエに帰る場所などオレの傍以外のどこにもオレは認(rèn)めない莽鸭、あってはならない。

次に出會った時こそもうオレは二度とオマエを離さない吃靠。

オマエに許しなど請いはしない硫眨、オレはオマエを支配する。
これまでにないオマエのその身を縛る鎖を與えてやろう巢块。

乾いた上唇を潤すようにその舌で一撫でさせるとニヤリと笑みを浮かべてラインハルトは
そのまま冷たい畫面のモニターに映るキルヒアイスの顔に自分の顔を摺り寄せた礁阁。

「…キルヒアイス…オレは、必ずオマエを手に入れる…必ず族奢、だ」
熱に魘されるように畫面越しのキルヒアイスに顔を摺り寄せてラインハルトは眠りについたのだった姥闭。

2.太陽と月に背いて-1
眠れない夜。
いつもそばにいたはずの存在が今はない越走。

見えない闇が怖くて怯えていたあの頃は棚品、暗闇に潛む存在が怖かった。

大人になってもう暗闇を恐れることはなくなっていた筈なのにまた怯えている自分がいる廊敌。
今は暗闇に潛む存在が分かっているから怖いのだ铜跑。

あれは…もう一人の自分、そして─

”また…夢をみているのだな”
ラインハルトは淺い眠りに囚われながらぼんやりと夢の中でそう呟いた骡澈。

ここ最近ラインハルトは同じ夢に悩まされているのだ锅纺。

暗闇の中、キルヒアイスがいてその腕に抱かれ淺ましくその身體を求めている自分がいる肋殴。
それはまるでラインハルトがいつか見た悪夢のようだ囤锉。

身體を熱い楔で貫かれ、その身を震わせてそれを受け入れ
淺く护锤、深く嚼锄、その奧を抉られてその身にキルヒアイスを銜え込む。

身體を揺らしてその動きは徐々に激しさを増していく蔽豺。

呼吸が動きにあわせて早まり区丑、掠れた嬌聲が動きに重なりあう。

背中を逸らせ己の最奧にキルヒアイスを受け入れ
やがて來る解放へと向かい始めるのだが…

「…は修陡、…はあ…あッ」
眠っていたラインハルトが突然そこで夢から覚めて飛び起きた沧侥。

目を大きく見開かせ、體は汗に濡れて呼吸も速い魄鸦。
シーツを握り締めながらラインハルトはその身を震わせる宴杀。

「…ッキルヒ、アイス」
目を硬く閉じてラインハルトから苦しそうな聲が漏れた拾因。

いつもそこで夢が覚める旺罢。

ラインハルトの夢には始まりも終わりもない旷余。
いつも夢は途中で始まって途中で目が覚めて終わる。

おかげでラインハルトは中途半端に終わる夢から現(xiàn)実に戻るまで隨分辛い思いを強(qiáng)いられてしまうのだ扁达。

「なぜ正卧、ここにオマエがいないんだ…ッ」
ラインハルトは歯軋りをしながらその身を震わせてシーツを更に硬く握りしめる。

キルヒアイスがいなくなってからはラインハルトはこういった夢を見る事はなかった跪解。

この夢を見始めたのはキルヒアイスが生きていると分かってからのことだ炉旷。
その存在を求める姿が生々しく情事という形となって夢に現(xiàn)れているのである。

「…オマエのせい叉讥、だ」
ラインハルトはそんな愚癡を苦々しく口にしながら熱くなったままの自分の下肢へとそっと手を伸ばした窘行。

翌日。
ラインハルトはキルヒアイスの捜索の狀況を聞くべく图仓、會議室に訪れていた罐盔。

「3日だ…もう3日になるというのに、何故まだなにも情報が入ってこないのかッ」

ラインハルトの激昂が會議室に響き渡った救崔。

そんなラインハルトの様子を誰もまともに見ることが出來ないでいる翘骂。
ラインハルトは反応の返らない會議室の面々を一瞥すると亂暴に無意味な調(diào)査書を投げ捨てた。

「…なにかいいたそうだな帚豪、オーベルシュタイン」
ラインハルトが自分を見つめるオーベルシュタインの方へと目を向けると
オーベルシュタインは一瞬躊躇したような様子を見せたものの溜息交じりに言葉を返した碳竟。

「恐れながら…陛下。キルヒアイス提督がどこにいらっしゃるのか狸臣、本當(dāng)にお分かりにならないのですか莹桅?」
「な、に…烛亦?」
オーベルシュタインの言葉に困惑の表情をしながら
ラインハルトはオーベルシュタインの次の言葉を待った诈泼。

「…つまり、キルヒアイス提督が隠れるとするならばどこが見つからないかということです煤禽。
この帝國の皇帝であるあなたでさえ立ち入れない場所がある…分かりませんか铐达?」

正確にはラインハルトが立ち入りたくない場所なのだが、
その言葉にラインハルトははっと我に帰った檬果。

ミューゼル家瓮孙。

キルヒアイスの実家。

アンネローゼのいる別荘选脊。

それはラインハルトが今最も近寄り固くそしてそっとしておきたい場所であり
憲兵を派遣させるなどということはとても今のラインハルトには出來ない場所だった杭抠。

「……ッ!」
ラインハルトが端正な顔を悔しさで歪ませると恳啥、
話を終わらせるようにオーベルシュタインが言葉を続ける偏灿。

「そういうことです…陛下同様、キルヒアイス提督もまた陛下のことをよく分かっておられる钝的。
かの提督以上に陛下のことを良く知る存在も他にございますまい」

的を得たオーベルシュタインの言葉に次の言葉を出せずにそのまま沈黙してしまう
ラインハルトだったが顔を上げて軽く深呼吸をするとようやく聲を発した翁垂。

「ミッターマイヤー铆遭、ロイエンタール…少し、頼まれてくれるか」
二人を近くに呼び寄せるとラインハルトはキルヒアイスの捜索を依頼した沿猜。

憲兵を派遣することは生活の場を荒らしてしまいそうなのでとても出來ないが
二人を自分の代理人として面會という形でならば問題はないとラインハルトは判斷したのである枚荣。

「なんとしても…キルヒアイスを、連れ戻せ」
キルヒアイスのその巧妙かつ卑怯なやり口に少々怒りを感じたラインハルトは
その思いを抑えた聲できつい目線を二人に向けながらそう告げたのだった邢疙。

”どこまで逃げても無駄だ…キルヒアイス。オマエの意思なんてもうどうでもいい…
オマエはオレの下へ戻らなくてはならない…そうあらねばならない望薄、そうだろう疟游?”

そしてラインハルトはミッターマイヤーとロイエンタールに捜索を任せ
そのまま會議室を後にしたのである。

「ふむ…まずどうするかな痕支、卿は」
「…よもや実家ということはあるまい颁虐。どうしてもアシがつくからな…だとすると」

『大公妃殿下の別荘…』
二人して同じ結(jié)論に達(dá)したミッターマイヤーとロイエンタールはその視線をあわせ頷きを返した。

「乗りかかった船だ…最後までつきあうか」
「…少し卧须、オレも興味がある」

”なぜ…今キルヒアイスが陛下の下に戻ろうとしないのか另绩。
二人は誰もが認(rèn)める親友同士であり、半身と呼んでも過言ではない存在なのに…”

少し考え込むロイエンタールにミッターマイヤーが不審げに聲をかける花嘶。

「…おい笋籽、ロイエンタール?」
「いや椭员、なんでもない…いこうか车海、親友殿」

そうして二人は行動を開始した。

會議室での出來事より少し以前隘击、場所はアンネローゼのいるフロイデンの別荘でのことである侍芝。
母屋のリビングで編み物をするアンネローゼに身の回りの世話をする召使が聲をかけてきた。

「今年もアンネローゼ様へ蘭が屆いております…
今回の蘭はまた格別の出來とのことで埋同、使いの者が持參したとのことですが…いかがなさいますか州叠?」

「まあ…それは」
その言葉にアンネローゼは驚きの聲をあげた。

元々ここへはアンネローゼの親しい知人以外はほとんど人はやってこない凶赁。
ましてや毎年屆けられる蘭というのはキルヒアイスの父親が育てているもので
キルヒアイスがいなくなってからも毎年のように屆けられている咧栗。

早速お會いしてお禮をいわなくてはならないとアンネローゼは
身支度を整えて使いのものが待つという溫室へと向かった。

「……ッ」
そこでアンネローゼは思わぬ再會を果たすことになる虱肄。
アンネローゼはその目を大きく見開いたまま口元へと手をあてた楼熄。

「今年の蘭は直接お持ちしました…また見事な出來栄えですよ?アンネローゼ様…」
「ジーク…ッ」
そのまま駆け寄るようにアンネローゼがキルヒアイスへと近づくと
また成長した弟の友人をきつく抱きしめた浩峡。

「ジーク可岂、ジーク…ッああ、よく生きていてくれました…」
言葉を途切らせながらアンネローゼは涙を流してその存在をかみ締めるようにさらに強(qiáng)く抱きしめる翰灾。

アンネローゼが落ち著くまでキルヒアイスはその身を動かさずに
今にも崩れそうになるアンネローゼを支えながらその抱擁を受け止めていた缕粹。

「あなたには謝らなくてはなりません…隨分つらい想いをさせてしまいましたね」
「ジーク…」
その言葉にアンネローゼはようやく顔をあげてキルヒアイスの顔を見返すと
キルヒアイスはアンネローゼの目から溢れる涙を拭うように指先でそっと頬を撫でた稚茅。

「いいえ、いいえ…ジークッあなたが生きていてくれた平斩、私はただそれだけでいいのです」
「アンネローゼ様…私は」
先の言葉をアンネローゼがキルヒアイスの口元に手をあててそれを遮る亚享。

「いいのよ…ジーク。なにもいわないで…なにか事情があるのでしょう绘面、
ここにいるといいわ…そうしましょう」

アンネローゼのところにもキルヒアイスが生きているという噂は入ってきていた欺税。
そしてラインハルトによってその捜索が行われていることも…

だがキルヒアイスがラインハルトの下へと戻らないでここに來たということには
なにか事情があるのだろうとアンネローゼは判斷したのだった。

「…です揭璃、が」
少し困惑するキルヒアイスにアンネローゼが苦笑混じりに言葉を続ける晚凿。

「ラインハルトはここへはこないわ…だから、なにも心配せずにここにいていいのよ瘦馍?」
「アンネローゼ様…」

アンネローゼのその言葉にキルヒアイスは
ラインハルトとアンネローゼとの交流が途切れてしまっていることに気がついた歼秽。

「…それは、私のせいですか情组?アンネローゼ様」
「いいえ…全ては燥筷、私自身…そしてラインハルトの問題なのです」
そう話を締めくくるとアンネローゼは別荘へとキルヒアイスを招き入れたのだった。

そしてそのままキルヒアイスはアンネローゼとともに別荘で過ごすことになったのである院崇。

日々蘭の世話をしたり肆氓、時には森に狩りにでて食事の獲物を獲り、
そして與えられた離れのリビングでアンネローゼとともにたわいない會話をしながら
キルヒアイスは穏やかな時を過ごしたのだった底瓣。

それからしばらくのことである做院。
ミッターマイヤーとロイエンタールがラインハルトの命を受けてアンネローゼの別荘を訪れていた。

アンネローゼは上手く話をかわしそのまま二人を帰すこととなったのだが
二人は地上車に乗った帰り道濒持、森の中で狩猟犬を連れて狩りをするキルヒアイスと遭遇する键耕。

キルヒアイスの姿を目撃した二人はその場で車を降りると慌ててその後を追った。

「おい柑营、キルヒアイス…ッ屈雄!」
遠(yuǎn)く離れたところにいるキルヒアイスにミッターマイヤーが大きな聲を張り上げながら
キルヒアイスに向かって走り出す。

何度目かの呼びかけにようやくキルヒアイスはミッターマイヤーの聲に気がついたのか
ミッターマイヤーの方を振り返るとそのままその場からの移動をやめた官套。

ミッターマイヤーを追うようにしてロイエンタールがその後へと続く酒奶。

「ミッタマイヤー提督…それにロイエンタール提督?」
思わぬ珍客に少し驚いた顔で首を傾げるキルヒアイスだったが
詰め寄ってきたミッターマイヤーが突然キルヒアイスの両方の二の腕を摑み取る奶赔。

「よく惋嚎、よくぞ…生きていてくれたッキルヒアイスよ」
ミッターマイヤーはキルヒアイスにいろいろと言いたいことがあった。

いや站刑、言わなくてはならないこともある另伍。
だがミッターマイヤーの口から真っ先に出たのはその言葉だった。

それはラインハルトにはキルヒアイスが必要不可欠の存在であることを
ミッターマイヤーのみならず皆が既に思い知っていたからである。

ミッターマイヤーの後ろに立ち盡くすロイエンタールもその言葉を肯定するように
キルヒアイスを見つめ続けていた摆尝。

「なるほど温艇、陛下の代理という訳ですか…ご足労をおかけしましたね…両提督には」
キルヒアイスが二人を交互に見やりながらそう答えを返す。

ラインハルトとアンネローゼの今の狀態(tài)を考えて見れば
ラインハルト自身が直接ここへくるとはキルヒアイスには到底思えなかったからである堕汞。

ラインハルトの意図をキルヒアイスは二人の姿で読み取ってしまったのだった勺爱。

「キルヒアイス、陛下がお待ちだ…いこう」
「キルヒアイス…讯检?」
ミッターマイヤーのその言葉に動こうとせずにキルヒアイスは首を軽く左右に振った琐鲁。

「私はいけません…陛下にはそうお伝えください」
「戻らない気か…ッ何故だッ!人灼?」
キルヒアイスの言葉に納得が出來ずにミッターマイヤーは激しく反論するが围段、
その様子にロイエンタールが手を顎にあてながらキルヒアイスの発言を推察しようと試みる。

見たところキルヒアイスは逃げる所か発見されるのをここで待っていたように思えたからだ挡毅。

「どうやら…この別荘から動かないでいたということは何か理由がありそうだな蒜撮。キルヒアイス」
「私は…アンネローゼ様と陛下とのご関係をなんとか修復(fù)したいのです」
キルヒアイスの言葉に二人ははっとした暴构。

アンネローゼとラインハルトはキルヒアイスがいなくなってから
全くの交流が無くなり跪呈、世間では不仲とまで噂がたっていた。

「私のせいで取逾、お二人が仲違いするなどあってはならない…」

「聞こうか…卿の話を」
確かに皇帝の身內(nèi)の不仲の噂などは外聞にもいい印象を與えない耗绿。
その辺りで同意を得たロイエンタールはキルヒアイスに先の話を促した。

「アンネローゼ様が陛下をお待ちしていると砾隅、そうお伝え頂ければ結(jié)構(gòu)です误阻。
陛下は必ずここへとお出でになることでしょう…」

「して…卿はこれからどうするつもりなのだ?」
ミッターマイヤーの言葉にキルヒアイスは目を伏せて言葉を返す晴埂。

「さて究反、どうしましょうか…」
「キルヒアイス…何故すぐ陛下の下へ戻らない…陛下はオマエの帰りを待ち望んでいるのだぞ?
ましてや卿と陛下は半身にも等しい親友同士ではないか」

「…半身儒洛、親友…いいえ精耐、そんなものではありません。私は陛下の…下僕にすぎない」

”それどころか…今の私の存在はあなたの光を遮る暗闇だ…”

「なにをいっているのだ…」
「今のわたしはただそれだけの存在です…それ以上でも琅锻、以下でもない」
それだけ言うと口を告ぐんでしまったキルヒアイスを二人はただ見つめていた卦停。

不思議な感覚だった。
キルヒアイスとラインハルトは唯一無二の親友同士であり恼蓬、絶対の信頼を置く半身ともいうべき存在だった惊完。
誰もがそう思っていた…いや、そうだったといってもいいだろう处硬。

『おそらくあなた方には一生分かりますまい…』
ミッターマイヤーとロイエンタールに向けていった
オーベルシュタインの言葉がその時二人の脳裏に同時によぎっていた小槐。

「…卿の言い分は分かった。そのまま陛下へはお伝えしよう」
そういってロイエンタールはミッターマイヤーを伴わせると
キルヒアイスに背を向けて車の方へと戻っていく荷辕。

その場に取り殘されたキルヒアイスはそんな二人の様子を黙って見屆けていた本股。

”親友攀痊、同士…か。確かに私たちにもそんな時があった…だがそれも拄显、もう遠(yuǎn)い昔の話ですが”

「………苟径?」
ふとキルヒアイスが物思いに耽る中顔を空へと向ける。

”雪躬审、だ…”

空からは花びらのように雪が舞い始めていた棘街。
今年初めての雪がフロイデンの別荘に訪れたのである。

”あなたもまだ私と同じ夢の中にあるのですか…承边?ラインハルト様”

雪の中でもキルヒアイスが思うのはただラインハルトのこと遭殉。
そんな同じ思いの中にあることを二人はその時まだ気が付かないままでいた。

2.太陽と月に背いて-2
「下僕博助、か…囚われているのは果たしてどちらなのやら…」

翌日险污、ミッターマイヤーとロイエンタールからキルヒアイスとの再會での話を聞かされたラインハルトは
二人には聞き取れない程度の小さな聲でそう呟きを漏らした。

「…陛下富岳?」
「いや蛔糯、なんでもない…二人共ご苦労だった、下がってくれ」
そういってラインハルトは二人を下がらせるとまた一人物思いに耽ける窖式。

”…だが蚁飒、捕らえるのは私だ。キルヒアイス”

「そのためには…まず萝喘、姉上にあわなくてはならない淮逻、か」
キルヒアイスがアンネローゼの下にいる以上顔を合わせない訳にもいかない。
いかにもキルヒアイスの考えそうなことだとラインハルトは溜息を漏らした阁簸。

”オレと姉上のことはオマエのせいなんかじゃないのに…相変わらず心配性なことだ”

ラインハルトは常にキルヒアイスを獨占してきた爬早。
幼年學(xué)校の頃より思いを通わせてその身すらも重ねて…

アンネローゼのキルヒアイスへの気持ちもラインハルトは
本當(dāng)のところ知らずにいたのかも今となっては疑問である。

わざと考えようとしなかったのかもしれない启妹。
だがラインハルトはこれからもあえてその目を閉ざし続ける筛严。

”優(yōu)しい姉上…同じ姉弟でありながら私は酷いエゴイストです。
私にはキルヒアイスが必要で翅溺、そしてそれは誰にも譲れない…”

そんなラインハルトの傲慢からキルヒアイスを失くした事実を知った
アンネローゼはラインハルトの下を去った脑漫。

ラインハルトを殘してミューゼル家を去り
宮殿という牢獄の中でアンネローゼはキルヒアイスの存在に救われていたことだろう。

アンネローゼは自分とラインハルトのために
キルヒアイスがこれまでにどれだけ盡くして來てくれていたかをその時初めて実感していた咙崎。

だが自分とラインハルトによってキルヒアイスの人生を
狂わせてしまったのかもその死をもって思い知らされたのである优幸。

自分達(dá)に出會わなければあるいは…などと筏养、アンネローゼは考えずにはいられなかったのだ胯盯。

「また…姉上を泣かせてしまうかな」
唯一の肉親であり全ての始まりでもあった実の姉、そして大切でかけがえのない家族也颤。

だがすでにラインハルトは選んでしまっていた。

自分のために家族すら捨ててしまったキルヒアイスを碳却。
キルヒアイスが自分だけであるようにラインハルトもキルヒアイスを队秩。

誰も自分を求めない中、キルヒアイスが自分を選び許し昼浦、全てを與えてくれた馍资。

ラインハルトは見返りを求めないキルヒアイスになにかを返したかった。
望み关噪、望まれて二人は結(jié)ばれたのだ鸟蟹。

”…姉上、私はいつもなにかを欲してばかりで奪うことでしか何かを手にいれる術(shù)を知らない使兔。
ですが建钥、そのために失うものの存在があることをこれからの私は決して忘れはしないでしょう。
…これは私のエゴです虐沥、姉上”

窓の方に目を向けてラインハルトは
アンネローゼに思いを馳せながらどこかに祈るように心の中でそう呟いていた熊经。

翌日ラインハルトは早々に仕事を終わらせると
アンネローゼのいるフロイデンの別荘へと向かった。

キルヒアイスがいなくなって以來の事なのでそれは隨分と久方ぶりの再會になる欲险。

「…姉上」
「いらっしゃい…ラインハルト」
入り口に立ち盡くして自分を呼ぶラインハルトをアンネローゼは笑って別荘の中へと招きいれる镐依。

別荘の中に入ったラインハルトは部屋の中をぐるりと見回した。

以前ここへは前帝國の皇帝の許可のもとキルヒアイスとともに訪れ
何度かアンネローゼと過ごしたことのある思い出の場所だった盯荤。

ラインハルトが一人でここへ來るのはこれが初めてのことである馋吗。

アンネローゼに誘われるままリビングへ入るとラインハルトがそのままテーブルにつくと
そこにはラインハルトの好物であるアンネローゼ手製のケーキが用意されていた焕盟。

「お口にあうといいけれど…」
遠(yuǎn)慮がちにいうアンネローゼにラインハルトは
以前にもこんなことがよくあったなどと思いながらケーキを口へと運んだ秋秤。

懐かしい味とともにかつての思い出がラインハルトの中をよぎる。

「…姉上は私にはお會いになってくださらないかと思っていました」
ラインハルトは手で口元をふさぐと俯いてそう言葉を口にする脚翘。

「ラインハルト…」
「私は姉上の優(yōu)しさに甘えてばかりの…昔と変わらぬ愚かな人間です」

そういったラインハルトをアンネローゼは目を瞠るように見つめた灼卢。

これが全銀河を統(tǒng)一した覇者の姿だろうか。

昔からこの弟は他人にはない強(qiáng)い覇気があった来农。

その將來を自ら切り開く雄雄しく成長し続ける弟をアンネローゼはたのもしく思ったものである鞋真。
だが今目の前にいる弟の姿は今まで決してみることのなかった苦悩の姿だった。

キルヒアイスを失ってラインハルトの下を去ったアンネローゼは
置いてきてしまった弟のことをいつも案じていた沃于。

だが涩咖、自分が覇者の道を行くラインハルトの妨げになることは出來なかった。
そしてキルヒアイスを失ったラインハルトを支える立場になってもいけなかった繁莹。

全銀河の頂點に立つものに支えなどあってはならないからである檩互。

「貴方は、ジークを…迎えにきた咨演、のでしょう…闸昨?」
「…キルヒアイスを、キルヒアイスを連れて帰ってもいいですか?姉上」
ラインハルトはおそるおそるアンネローゼに言葉を返す饵较。

「ラインハルト…」
「ずっとここで…キルヒアイスと二人拍嵌、とは思わないのですか?」
ラインハルトのその言葉をアンネローゼは目を伏せて受け止める循诉。

「もう横辆、ジークは…いってしまったの」
だが再び目をあけたアンネローゼはラインハルトにそう靜かに告げたのだった。

ミッターマイヤーとロイエンタールとの會話を交わした後茄猫、
キルヒアイスは山荘へ戻りすぐに出発の身支度を始めていた龄糊。

その様子を召使から聞いたアンネローゼが
慌ててキルヒアイスのいる離れへとやってくる。

「ジーク…ッ何故募疮、どうしていってしまうのl懦汀?」
「アンネローゼ様…」
アンネローゼがキルヒアイスにしがみつくようにその身を寄せ
キルヒアイスの胸元に頭を摺り寄せるとアンネローゼはキルヒアイスを引き留める為に必死で訴え始める阿浓。

「いか他嚷、ないで…もうどこへもいってしまわないで…ッ」
「それは…命令ですか?大公妃殿下」
キルヒアイスの思いがけない言葉にアンネローゼは信じられないとでもいうような表情を浮かべ
キルヒアイスを見つめた芭毙。

「ジーク…ッ」
「…申し訳ありません筋蓖。意地の悪い言い方でした…どうか、お許しください」
ラインハルトが間近に迫ったせいもあってキルヒアイスは少々心の余裕をなくしていたようである退敦。

非禮をアンネローゼに詫びながらキルヒアイスは
そのまま自分に身を寄せるアンネローゼの身體をそっと引き離した粘咖。

だが思った以上にアンネローゼにはキルヒアイスの言葉が衝撃的だった。

かつてアンネローゼはこの弟の親友であるキルヒアイスに弟の面倒を頼んだ侈百。
キルヒアイスは全てアンネローゼのいうようにする瓮下、そう答えたのである。

「命令だから…命令だから今までラインハルトの傍にいたというの…钝域?」
「いいえ…そうではありません讽坏。ただ、なんとなく…あなたならどう答えるのかと」
…試してしまいました例证。そう路呜、言葉が続いた。

「ラインハルト様ならば…即座に织咧、私に命令したことでしょうね」
苦笑しながらそういってキルヒアイスはまとめた荷物を肩へと擔(dān)いだ胀葱。

”私では駄目なのだ…ラインハルト以外に今のジークを引き止めることは出來ない”

アンネローゼはそんなキルヒアイスの様子に自分では
キルヒアイスを引き止めることが出來ないのだということをはっきりと自覚した。

「…まもなく陛下がここへこられます…どうか笙蒙、ご関係の修復(fù)をなさってください
もしそれが私のせいならば抵屿、私は…私自身を闇に葬る以外の術(shù)を知りません」
「ジーク…ッ」
キルヒアイスのそのもの言いに不吉なものを感じ取ったアンネローゼは
最早キルヒアイスの嘆願を斷る訳にはいかなかった。

「…會えないわ…私には會う資格がない手趣、私はあの時
孤獨になったラインハルトを手放してしまった…あの子を救おうとはしなかった…ッ」

「いいえ…アンネローゼ様晌该。それは違います…昔も今もあなたは変わらない肥荔。
ラインハルト様にとって…貴女は、大切な大切なお方朝群。
貴女が存在する燕耿、ただそれだけですでにあの方は救われているのですよ?」

それでもまだラインハルトに會うことに躊躇を覚えるアンネローゼを見て取ると姜胖、
キルヒアイスは胸元から取り出したものをアンネローゼの手の平へと差し出した誉帅。

古い鍵のようだった。それが何の鍵なのかはアンネローゼには分からない右莱。
首を傾げるようにアンネローゼがキルヒアイスに問いかけた蚜锨。

「これ、は…慢蜓?」
「もしラインハルト様にお會いになれたら亚再、これを渡しください…」
そういってキルヒアイスは目の前にいるアンネローゼを橫切って出口へと向かっていく。

「ジーク晨抡、待って…7招!」
「あなたと…そしてラインハルト様の存在だけが…私のすべてです耘柱。
それは如捅、これから先もずっと私の中で変わることはありません…あなた方の幸福だけを、願っています」

それだけ言うとキルヒアイスはアンネローゼの制止も聞かずに散らつく雪の中调煎、
フロイデンの別荘を後にしたのだった镜遣。

「…これが、その鍵ですか士袄?」
黙って話を聞き終えたラインハルトがアンネローゼから差し出された鍵を受け取った悲关。
そしてさらに言葉を続ける。

「私は…強(qiáng)欲でしょうか窖剑。キルヒアイスの幸福は私の元にはないのかもしれない坚洽。
だが私は逃げているキルヒアイスを自分の元に引き寄せようとしている…
私は姉上と…キルヒアイスがいないと幸福にはなれ戈稿、ない…
キルヒアイスと姉上はそう思っては下さらないのですか」

「ライン西土、ハルト…」

全銀河を統(tǒng)一し、その帝國の皇帝となったラインハルト鞍盗。

だが幸福はその場所にはすでに殘ってはいなかった需了。
全ては過去に失われ殘ったものは…

「抜け殻だ…私の欲しいものはもうこの世のどこからも失われていた…」
ラインハルトは鍵を握りしめて席をたった。

「姉上…必ずキルヒアイスを連れて帰ります般甲。どうか獅子の泉へお戻りください肋乍。
そして…以前のように三人で暮らしましょう」

「ラインハルト…ジークのもとへいくのね?」
アンネローゼの問いかけにラインハルトは確固たる意思をその瞳に宿したままはっきりと答えを返す敷存。

「はい…」
ラインハルトの覇気がその身に戻った墓造。

アンネローゼにはキルヒアイスを引き止めることは出來なかった堪伍。
だがこの弟ならばきっと全て葉えてしまえる…そんな確信がある。

”この子は未來に生きようとしている…これが私にはないこの子の強(qiáng)さ”
こうしてラインハルトとアンネローゼは長年の再會を無事に果たしたのだった觅闽。

皇帝の居城?獅子の泉への帰り道帝雇。
地上車の中でラインハルトはアンネローゼから受け取った鍵を胸元から取り出した。

”古い鍵…いつか蛉拙、どこかでみたような”
しばらく記憶の中を探るように目を泳がせていたラインハルトだったが
ふいにその古い鍵のことを思い出す尸闸。

”…まさ、か孕锄。これ幼年學(xué)校時代に初めて二人で旅行したときの山荘の…”

ラインハルトがそう心の中で呟きを漏らすと
舞うように落ちてくる雪を地上車の窓から眺めながらその昔キルヒアイスと旅行した時の頃の回想を始めた吮廉。

あの時も雪が降っていた。
幼年學(xué)校の冬期休暇を利用して初めてラインハルトはキルヒアイスと二人だけの旅行をした畸肆。

キルヒアイスの両親がいつも冬期休暇を幼年學(xué)校で過ごす息子を案じて
もしよければラインハルトと二人で冬期休暇の間その山荘へいって過ごしてはどうかと
話を持ちかけて來たのがことの始まりだった宦芦。

キルヒアイスは帰る家のないラインハルトを気遣って決して家へ戻ろうとしなかった。

そんな中でのせっかくのキルヒアイスの両親の申し出を斷るのも憚られ
ラインハルトは旅行を承諾したのだった轴脐。

そうして始まった二人だけの日々踪旷。
観光をして、買い物をしていつになくはしゃいで過ごした懐かしい記憶豁辉。

そしてクリスマス令野。
この日アンネローゼから贈り物として特にいって作らせたという
この世で二つしかない同じ細(xì)工を施した揃いの懐中時計が屆いた。

今もなおラインハルトの胸元に光る金とそしてキルヒアイスには銀の懐中時計を徽级。
胸元の懐中時計を握りながらラインハルトはそんなことをふと思い出す气破。

そして、二人はあの日を迎えたのだった餐抢。

それはとある事件がきっかけに二人は思わぬところで身體を重ねてしまうことになる现使。
やがて互いの誤解が解け、二人はそれから數(shù)えきれない程に身體を重ねて時を過ごしてきた旷痕。

”まるで天國みたいな場所だった…”

二人だけの空間碳锈。
何者にも捕らわれることもなく互いのことだけを思う。

そこには生々しい現(xiàn)実からは程遠(yuǎn)い至福の世界があった欺抗。

優(yōu)しく穏やかに流れる時間售碳、そして時には身體を重ね互いの熱を確かめあう…そんな日常。

”そこがオマエの終著點か…キルヒアイス绞呈、オマエは今そこでどんな夢をみている…贸人?
今のオマエの中にオレはいるか?…夢の中のオレをオマエは佃声、抱いているのか艺智?”

「陛、下…ッ」
地上車の中で驚いて叫び聲を上げたのは同乗していた秘書官のヒルダである圾亏。

ラインハルトが考え事に耽りながら口元に近づけた指先を強(qiáng)く噛んだのだ十拣。
思いのほか出血が多く封拧、血の匂いが車內(nèi)に広がった。

慌てて手元からハンカチを取り出したヒルダが
手を差し伸べてラインハルトの指先の傷の具合を確かめる夭问。

だがラインハルトはヒルダの差し出した手をさらりとかわした哮缺。

「…いいんだ、フロイライン甲喝。このままで」
「ですが…陛下尝苇、隨分出血しております。早く手當(dāng)てをなさらないと」

車內(nèi)で救急箱を探すヒルダに目もくれずに血の溢れる傷口にラインハルトは視線を映す埠胖。

そしてそのままラインハルトが指先の傷を口元に近づけてそのまま強(qiáng)く吸い上げると
血の味がラインハルトの口內(nèi)に広がりを見せる糠溜。

ヒルダが救急箱を取り出してラインハルトの傷ついた指先に手當(dāng)てを始めた。
ラインハルトはヒルダのその様子を見つめながら血の味が殘る唇を舌でペロリと拭いとる直撤。

同じ夢をみようといって二人身體を重ねたあの頃非竿。

やがて互いの知らない場所などもう身體のどこにもなくなっていて、
それでもまだ足りないかのように時を惜しむように貪りあった谋竖。

啼き聲をあげて红柱、もっとこれが欲しいとラインハルトが強(qiáng)請ると
望みを葉えるようにキルヒアイスはそれに答え
絡(luò)みつかせた身體がまた熱で溶け合うほどに交わった。

そして解放の瞬間蓖乘。
歓びとまた再び求める思いとが二人の中に交差する锤悄。

銜え込んだ熱い楔に熱く絡(luò)みつく內(nèi)壁と絡(luò)めた足で
離れようとするキルヒアイスの身體をラインハルトは押さえ込んだ。

一つになったままずっと飽くことなく二人は抱き合い
まるで二匹の貓がじゃれあうように同じ體溫を分け合った嘉抒、あの日々零聚。

”…夢じゃない。これは夢なんかじゃない些侍。
キルヒアイス隶症、オレはこれからオマエの夢を奪いにいく…
見るのはここにいるオレだけでいい…オマエのいない幸福などオレはいらない”

ラインハルトは回想に耽りながら心の中で何度もそう繰り返し続けていた。

最后編輯于
?著作權(quán)歸作者所有,轉(zhuǎn)載或內(nèi)容合作請聯(lián)系作者
  • 序言:七十年代末岗宣,一起剝皮案震驚了整個濱河市蚂会,隨后出現(xiàn)的幾起案子,更是在濱河造成了極大的恐慌耗式,老刑警劉巖胁住,帶你破解...
    沈念sama閱讀 206,839評論 6 482
  • 序言:濱河連續(xù)發(fā)生了三起死亡事件,死亡現(xiàn)場離奇詭異纽什,居然都是意外死亡措嵌,警方通過查閱死者的電腦和手機(jī),發(fā)現(xiàn)死者居然都...
    沈念sama閱讀 88,543評論 2 382
  • 文/潘曉璐 我一進(jìn)店門芦缰,熙熙樓的掌柜王于貴愁眉苦臉地迎上來,“玉大人枫慷,你說我怎么就攤上這事让蕾±斯妫” “怎么了?”我有些...
    開封第一講書人閱讀 153,116評論 0 344
  • 文/不壞的土叔 我叫張陵探孝,是天一觀的道長笋婿。 經(jīng)常有香客問我,道長顿颅,這世上最難降的妖魔是什么缸濒? 我笑而不...
    開封第一講書人閱讀 55,371評論 1 279
  • 正文 為了忘掉前任,我火速辦了婚禮粱腻,結(jié)果婚禮上庇配,老公的妹妹穿的比我還像新娘。我一直安慰自己绍些,他們只是感情好捞慌,可當(dāng)我...
    茶點故事閱讀 64,384評論 5 374
  • 文/花漫 我一把揭開白布。 她就那樣靜靜地躺著柬批,像睡著了一般啸澡。 火紅的嫁衣襯著肌膚如雪。 梳的紋絲不亂的頭發(fā)上氮帐,一...
    開封第一講書人閱讀 49,111評論 1 285
  • 那天嗅虏,我揣著相機(jī)與錄音,去河邊找鬼上沐。 笑死旋恼,一個胖子當(dāng)著我的面吹牛,可吹牛的內(nèi)容都是我干的奄容。 我是一名探鬼主播冰更,決...
    沈念sama閱讀 38,416評論 3 400
  • 文/蒼蘭香墨 我猛地睜開眼,長吁一口氣:“原來是場噩夢啊……” “哼昂勒!你這毒婦竟也來了蜀细?” 一聲冷哼從身側(cè)響起,我...
    開封第一講書人閱讀 37,053評論 0 259
  • 序言:老撾萬榮一對情侶失蹤戈盈,失蹤者是張志新(化名)和其女友劉穎奠衔,沒想到半個月后,有當(dāng)?shù)厝嗽跇淞掷锇l(fā)現(xiàn)了一具尸體塘娶,經(jīng)...
    沈念sama閱讀 43,558評論 1 300
  • 正文 獨居荒郊野嶺守林人離奇死亡归斤,尸身上長有42處帶血的膿包…… 初始之章·張勛 以下內(nèi)容為張勛視角 年9月15日...
    茶點故事閱讀 36,007評論 2 325
  • 正文 我和宋清朗相戀三年,在試婚紗的時候發(fā)現(xiàn)自己被綠了刁岸。 大學(xué)時的朋友給我發(fā)了我未婚夫和他白月光在一起吃飯的照片脏里。...
    茶點故事閱讀 38,117評論 1 334
  • 序言:一個原本活蹦亂跳的男人離奇死亡,死狀恐怖虹曙,靈堂內(nèi)的尸體忽然破棺而出迫横,到底是詐尸還是另有隱情番舆,我是刑警寧澤,帶...
    沈念sama閱讀 33,756評論 4 324
  • 正文 年R本政府宣布矾踱,位于F島的核電站恨狈,受9級特大地震影響,放射性物質(zhì)發(fā)生泄漏呛讲。R本人自食惡果不足惜禾怠,卻給世界環(huán)境...
    茶點故事閱讀 39,324評論 3 307
  • 文/蒙蒙 一、第九天 我趴在偏房一處隱蔽的房頂上張望贝搁。 院中可真熱鬧吗氏,春花似錦、人聲如沸徘公。這莊子的主人今日做“春日...
    開封第一講書人閱讀 30,315評論 0 19
  • 文/蒼蘭香墨 我抬頭看了看天上的太陽关面。三九已至坦袍,卻和暖如春,著一層夾襖步出監(jiān)牢的瞬間等太,已是汗流浹背捂齐。 一陣腳步聲響...
    開封第一講書人閱讀 31,539評論 1 262
  • 我被黑心中介騙來泰國打工, 沒想到剛下飛機(jī)就差點兒被人妖公主榨干…… 1. 我叫王不留缩抡,地道東北人奠宜。 一個月前我還...
    沈念sama閱讀 45,578評論 2 355
  • 正文 我出身青樓,卻偏偏與公主長得像瞻想,于是被迫代替她去往敵國和親压真。 傳聞我的和親對象是個殘疾皇子,可洞房花燭夜當(dāng)晚...
    茶點故事閱讀 42,877評論 2 345

推薦閱讀更多精彩內(nèi)容

  • 1.暗闇より夜魔來たる-1あなたはきっとこんな私をお許しにはならないでしょう…ですが蘑险、私はあなたを守る以外の何かを...
    波沙諾瓦閱讀 3,252評論 0 7
  • 1.暗闇より夜魔來たる-1あなたはきっとこんな私をお許しにはならないでしょう…ですが滴肿、私はあなたを守る以外の何かを...
    波沙諾瓦閱讀 1,917評論 1 2
  • 陽の光 闇の月 陽も月も異なれど、同じように地上を照らす佃迄。けれど泼差、両者は決してまみえることはない。陽が輝くとき月は...
    波沙諾瓦閱讀 2,243評論 0 7
  • 生活是一個球 寫滿了悲歡離合 你我 是在球上爬行的 螞蟻
    草木土石閱讀 179評論 0 0
  • Dubbo(http://dubbo.io/) 是阿里的開源的一款分布式服務(wù)框架呵俏。而Spring Boot則是Sp...
    whthomas閱讀 12,873評論 11 25